ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆038

「てめぇ、逃げんのかよ!」
4人組の先頭を走る一人が叫ぶ。
「待てコラァ!!」
怒号を背中に永悟は人気の無い理科室等がある中央校舎に入って行った。


週明け月曜日の放課後。


永悟は拳斗から聞いた経験談を参考に、この日、自分なりの『戦い方』を実行してみた。


《逃げれば必ず追ってくる。本当だ!》


永悟は楽しかった。
全力疾走で追い駆けてくる奴等とは違い殆ど本気を出していないのだ。
最上階の3階まで駆け上がると余裕を感じた永悟は拳斗が実際に行った手段を思い出し、それを自分なりに真似てチョット悪戯を試してみようと思った。


渡り廊下を曲がった所で壁際に沿って待ち伏せ、偶々ポケットに入っていたコンビニ袋を膨らませた。
聞こえてくる奴等の足音が大きくなってきた。
先頭の一人が曲がってきた所を見計らって


パンッ!!
「わぁっ!!」


破裂した袋の音に驚いて後ろに仰け反り追い着いた仲間1人とぶつかって倒れる。
そこにまた追い着いた2人が避け切れず倒れた二人に躓いて覆い被さった。
「ただのコンビニ袋ですよ」
鳩が豆鉄砲を喰らった様な表情の4人組に対して平然と言ってのける永悟。
拳斗の場合は先頭の奴を思い切り打ん殴ったのだが流石に永悟にはそれは出来ないのでこの手を使ったのだ。


「ハハッ!先輩達、結構ビビリですね」
不思議と挑発的な言葉が自然に出てくる。
「・・・てめぇ!!」
怒りの形相で立ち上がる4人組。
渡り廊下を走り教室のある隣の校舎へ向かう永悟。
永悟は他の生徒をすり抜けながら階段を一気に下まで駆け下りた。


つづく

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