ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆054

ドラムロールの様なエンジン音が鳴り響く中、時間が止まったかの様な錯覚に陥る永悟。

「な・・・何だ?誰だよ?」
正三達もバイクに跨りヘルメットを取る、そのシルエットに困惑する。


「千晶ちゃん!永悟君!」
「…眞由美さん?」と永悟。


正三達の意識が眞由美に向いて油断している隙に千晶は脱兎の如く走り出した。
「あっ!」
「クソッ!」


GSX-1100から降りた眞由美の胸に飛び込む千晶。
「もう大丈夫よ」
眞由美は泣きじゃくる千晶を優しく抱きしめた。
ずり上がった下着を元に戻しカーディガンのボタンを止めてあげ、眞由美は正三やA達を鋭い視線で見据えた。
「随分とまぁ男らしい真似をするじゃないか」
お得意の皮肉である。
「何だよオバサン」
ピキッ!
Aの言葉に眞由美のこめかみが痙攣する。
「お前等みたいなガキがレディの相手をするには100年早いよ。帰ってママにでも扱いて貰いな!」
「うっせんだよババァ!!」
ピキピキッ!!
Dの暴言に目尻が引き攣る。
「怪我する前に失せた方が身の為だぞコラァ!」
血の気の多いDが凄みながら永悟の方から早歩きで眞由美に近づいてきた。
「何ならアイツより先にお前を簀巻にしてやろ・・・んぐぉぉっ!!・・・・」
Dが眞由美に掴み掛ろうとした瞬間、眞由美の鋭い膝がDの股間に突き刺さった。
脳天から肛門にかけて落雷でも喰らった様な激痛に嘔吐感と脂汗で体が硬直し前のめりになるD。
ガッ!!
眞由美は容赦無くDの左側頭部の、こめかみ辺り目掛け肘を振り抜いた。


Dが倒れこむのと同時期に今度は1台のパールマイカのランドクルーザーが眞由美の背後に停まった。
「千晶ちゃん!」
助手席から里香が飛び出してくる。
「叔母さん!」
今度は里香の胸に飛び込む千晶。
運転席からは拳斗が、後部座席からは遥子と麻理子が降りてきた。

つづく

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