ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆078

翌日の日曜日。


この日、本当は完全オフの予定だったのだが前日の興奮が冷めず気合入りまくりの3人は朝8時から賢治宅の物置でバンド練習に明け暮れた。
9月とはいえ日中は、まだまだ暑く物置内は蒸し風呂状態で大型の扇風機を3台フル稼働にしても汗がダラダラ出てくる。
だがそれでもこの日は3人共、全く集中力が途切れなかった。
文化祭まで2週間。
充分、練習は積んだつもりだったが昨日のステージを観て何か自分達に足りない物が判った様な気がした。
それを確かめる様に凄まじい集中力でゲネプロを重ねる3人。


気が付けば完全に日が暮れていた。
「やっぱりYAZAWA魂だな!」
「だな!!」
ただ単に『YAZAWA魂』と言いたいだけなのだが昨日のエキサイティングな体験が今でも忘れられない3人は先輩矢沢ファンから聞いたその言葉を本能的に自分達の血、肉に取り込みたいと思ったのか3人共クソ暑いにも関わらず昨日買ったビーチタオルをずっと肩に掛けて練習していた。


ドアを開放したまま麦茶、スポーツドリンクで水分補給をする。
秋の夜風が冷たく気持ちいい。
「やっぱり今日、練習しといて良かったな」
「明日から忙しくなるからな」
翌日から学校では文化祭の準備が本格的になり敏広達の軽音楽部も当然ながら様々な雑用に負われる。
「まぁでもやれるだけの事はやった」
「後は運を天に任せよう」
軽音楽部にとって文化祭は最高の見せ場である。
特に3年生は、これを最後に引退するので当然下級生よりも思い入れは強い。
だが悲しいかな、そのモチベーションが敏広達の様に練習に向う軽音部員は極端に少ない。
殆どが目立ちたい、モテたいとゆう動機だけの部員であるから当然だが敏広達の高校の軽音部も例外では無かった。


そして前夜祭の最中
「お前等マジでドラム無しでライヴ演ろうってぇの?」
軽音部の部長が敏広達に声掛けしてきた。
「はい。そのつもりですけど」
「ドラムもいねぇでライヴなんか出来るのかよ?」
殆ど難癖に近い事を言ってくる。
因みにこの部長は自称カート・コバーンの生まれ変わりで典型的な目立ちたいだけの男であった。
しかし外見だけは磨くのを怠ってないので小綺麗な為、一部の女子には受けがよかった。
この男に限らず3年部員の殆どの練習は好きなバンドのCDに合わせて適当に楽器をかき鳴らすだけとゆう、とても練習とは言えない物で敏広達はこの様なエセ・ミュージシャンと関わるのが嫌で軽音部の集いには殆ど顔を出さないでいたのだ。
幸いYASHIMAは学校以外に練習場所があったので無意味な部活に出席しないで済んだのだが部長達3年と他の2年部員は放課後の部活動には出席しないが文化祭には出演するとゆう敏広達が気に入らないのだ。
「ドラムマシンがあるから問題無いです」と敏広。
昨年ドラムをクビにしてからYASHIMAは新たなメンバーは探さず敏広の持っていたドラムマシンを第4のメンバーとしていた。
「マシンなんかじゃノリ出せネェだろうが」
部長の横に居る3年部員の一人が判った風な事を言い、周りがそれに頷く。
「でもリズムは正確ですよ」と賢治。
皮肉を込めて言ってやったが連中には通じなかった。
「まぁいいや。だけど明日は俺達3年の大事な見せ場だってぇのを忘れんなよ」
「大丈夫です」
「マシンなんかでショボい事やってシラけさせんじゃねぇぞ」
そう言って部長達3年と数人の2年部員は去っていった。
敏広達は笑っていた。
「エセ公どもが!お前等こそ明日、ホエズラかくなよ」
シラけさせるつもりは無いが3年生の為に花道を用意する気などは更々無かった。

つづく

コメント

  1. ぺこちゃん より:

    ホントるんるん
    毎回、面白いですね~うれしい顔
    この後の展開がどうなるのか、毎回ドキドキわくわくしますうれしい顔
    三人がどんなセットリストでどんなステージを見せるのか、楽しみです目がハート目がハート目がハート

  2. AKIRA より:

    ぺこちゃん♪^^
    毎度センキューどーもです
    矢沢魂バリバリな事、間違い無しなんで(笑)
    ヤツ等の活躍、期待して下さいヨロシク

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