眞由美と拳斗の出会いは二人が高校1年生の10月。場所は観音崎。
この頃の眞由美は長兄のカワサキZ2を借りてツーリングに行くのが趣味で長兄は2人の弟には絶対にバイクを貸さなかったのだが末っ子の眞由美にだけは、あっさりキーを渡してくれた。
因みに、この時点で眞由美は中型免許しか持っておらず厳密には無免許運転であった。
そして秋晴れの日曜日の午後。
ぼんやり海を眺めながら野良猫と戯れた後、帰ろうとしたらエンジンが掛からない。
「ちょっと勘弁してよぉ!」
セルがカチカチ音を鳴らすだけで始動しなくなったZ2
「………押して帰るしかないかしら」
途方に暮れていると
「どうしました?」
少し離れた所に停めてあったCB400Fの持ち主と思われる男が近づいて来た。
それが若林拳斗であった。
この頃の拳斗は今の様なプロレスラー体型では無く痩せマッチョでリーゼントにスカジャン、ヘインズの白Tシャツ、リーバイスのジーンズ、コンバースの黒バッシュとゆう井手達。
また若いのに何処かニヒルな雰囲気を醸し出してる姿は映画『欲望という名の電車』でのマーロン・ブランドの様で矢沢永吉以外の男に全く興味が無かった眞由美も思わずドキッっとしてしまった。
「あぁ、バイクが急に動かなくなっちゃって……」
「キックはしてみた?」
「えっ?」
「ちょっといい?」
拳斗はZ2に跨りキックで始動を試みたが、それでも掛からなかった。
考えられる原因はバッテリー上がり。だがバッテリーだけが原因とは限らないし、どちらにしても高校生で対処出来る物では無かった。
「この辺に修理屋さんって…」
眞由美は辺りを見回した。だが見えるのは海と山ばかり。
「ある訳ないわよねぇ……」
諦めモードに陥る眞由美。
「ちょっと待ってな」
拳斗は自分のバイクで走り出だした。
10分後に戻ってくると拳斗は何故か缶コーラを2本持っていた。
「知り合いの修理屋を呼んだから」
言いながらコーラを渡す。
「あぁ、ありがとう」
受け取り財布から小銭を出そうとすると
「金なら要らないよ。貰い物だ」
「貰い物?」
「近くの家で電話を借りたら、そこのお婆ちゃんがくれたんだ」
クスッと笑う眞由美。
拳斗はプルタブを開けグビッっと一口飲むと徐に口笛を吹き出した。
「!」
そのメロディに気付いた眞由美は拳斗の口笛に合わせて歌いだす。
「甘く苦い~ウィスキーコーク~♪」
「知ってるのか?」
「えぇ。キャロルの頃から永ちゃん大好き!」
「俺もキャロルの頃からさ!」
この一曲で二人の距離は簡単に縮まった。
コメント
明日の横須賀より、こちらのトラバスの更新のほうが待ち遠しかった・・・
なんて言ったら明日ドブ板に頭から突っ込まれますね(笑)
海、バイク、永ちゃんの曲めちゃめちゃ憧れる素敵な出逢いですね
永ちゃん大好きってスッゴク距離が縮まるんですよね
しかも「俺たちの出逢いを~」ウイスキーコークなのが、またサイコーです
続きがわくわく
Baybreezeさん♪^^
いつも嬉しいお言葉ありがとうございます
正直自分も・・・・・とこれ以上は言わないでおきます(笑)
ぺこちゃん♪^^
いつもありがとうございます
選曲は凄い迷いました(笑)
続きは横須賀レポの後になると思うんでまたヨロシクです