その本牧ふ頭での出来事から横浜の不良グループの間で『公認のカップル』となった眞由美と拳斗。
その噂は瞬く間に神奈川全域に広がり当然、拳斗の学校関係者の耳にも入る。
2年一学期開始直後、拳斗は一度、校長室に呼び出され担任を含む複数の教師に事の真意を尋ねられると喧嘩についてはしらばっくれたが眞由美との関係はあっさり認めた。
学校側は当然、別れる様に言ってきたが「関係ありません」と突っぱねる拳斗。
この態度に担任は納得しなかったが普段の学校生活で特に問題を起こした事も無いのを理由に学校は黙認する事に決めた。
「大丈夫なの?」
「何が?」
「だって・・・それでもし退学にでもなったら・・・」
「俺が誰と付き合おうと学校には関係無い事だ。それが原因でクビになる様なら、そんな学校こっちからお断りだ」
素直に嬉しい眞由美。
そして3年生になり、ある五月晴れの日。
「志望校は決めたの?」
「大学には行かない」
「えぇっ!?」
予習、復習もせず毎日の授業を聞いているだけで常に上位の成績を保ち一流校の合格も間違い無いと言われてる拳斗だから当然進学するものと思っていた。
「もう勉強は充分だ。これ以上続けても少なくとも俺の人生に役立つとは思えない」
「それじゃ就職?」
「いや、陸上自衛隊に入る」
さっきよりも更に驚く眞由美。
「何でまた自衛隊に!?」
「自分を磨き鍛えるのに、これ以上最適な場所は無いと思ったからさ」
その判り易くも拳斗らしい答えにあっさり納得してしまう。
「そういう、お前こそ大丈夫なのか?卒業」
「今のペースで行けば大丈夫よ」
眞由美は拳斗と付き合い始めてから横浜の高校を頻繁に休む様になり出席日数も規定ギリギリで1年の時は進級も危ぶまれた。
何とか補修と追試で留年は免れたが2年生以降も変わらぬ危うい学生生活を続けていた。
眞由美は頭の出来は決して悪くなく、むしろその気になれば大学にも行けたのだが勉強自体が嫌いで本当は高校すら義務教育で無い事を理由に進学しないつもりでいたのだが家族の説得に折れて嫌々通っていたのだ。
「その後はどうするつもりだ?」
「まだ何にも決めてないわ。長い人生、無理して焦る事も無いじゃない」
「それもそうだが…」
「何なら貴方のお嫁さんになっちゃおっかな。大学行かないなら問題無いでしょ!なんてね」
笑う眞由美。だが拳斗は急に難しい顔になる。
「一度は……」
「えっ?」
「一度は俺も、それを本気で考えた……」
「………どうしたの?」
「いい機会だ。言っておきたい事がある」
拳斗の表情は何処か寂しげであった。
コメント
続きが気になる~~~(笑) ミーハーなもんで

Baybreezeさん♪^^ありがとうございます
続きは既に書き終えているんですが明後日掲載予定ですので暫しお待ち下さいませ