ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆179

『歪虜怒王』(ワイルド・ワン)は1970年代中期に川崎を中心に活動していたレディース・バイク・チームで、その初代総長が真純だった。

尤も真純自身に総長である自覚は殆ど無く『歪虜怒王』も自然発生的に出来た産物であった。

キッカケは真純が高校1年生の時、免許取り立てでバイクに乗っている所に有る暴走族と遭遇。

その族は当時、川崎市内では知らぬ者は居ない程の悪名高き集団で絡まれたら最後、身包み剥がされ女子は乱暴され、その後の人生を狂わされた者も多く居た。

所が幼少の頃から剣道を習っていた真純は族の一人が持っていた金属バットを奪うと疾風怒濤の勢いで一人残らず撃退。

たった一人の女子高生に完膚無きまで叩きのめされたこの族は壊滅。反対に真純の名は広く知れ渡り、その喧嘩の強さに憧れ、また姉御肌で面倒見も良かった為に慕う者も多く、そんな後輩達が自然と集まってバイク・チームを形成。

これが『歪虜怒王』の始まりであった。

因みにチーム名の由来は真純が当時好きでよく聴いていたスージー・クアトロの曲から拝借。

当て字は後輩の一人が考えた。


だが、この『歪虜怒王』は真純の人生の中で一番消したい過去であった。

理由の一つは恋愛。

多感な十代。当然、恋もしたいし好きな男も居た。
だが、あの『歪虜怒王』の総長と知られた途端に真純のタイプであった真面目そうな男は皆、逃げてゆき反対に言い寄ってくる男は全く好みで無い見た目も頭もワルそうな奴等ばかりであった。

『歪虜怒王』は多少ヤンチャな女子の集まりでは有ったが暴走族では無く普通のツーリング・チームであったので反社会的行為は一切禁止。

後輩も、その辺は良く守っていたのだが何故か周囲はそう思ってはくれなかった。

唯一『歪虜怒王』絡みで真純にとって良かった出来事と言えば眞由美と拳斗に出会えた事であろう。

しかし、これもキッカケは有るトラブルが原因であった。

ある日、横浜の繁華街でスケ番数人が女子高生2人を恐喝していた所に偶々、居合わせた一人の女子がこれを排除。

それが『ハマのメドゥーサ』朝倉眞由美であった。

スケ番は「覚えてな!アタシ達『歪虜怒王』に喧嘩売って生きてられると思うなよ!」と捨て台詞を吐き逃亡。

ただ、実は、これはハッタリで、このスケ番は『歪虜怒王』とは何の接点も無い者達であった。

そして、この直後に「ハマのメドゥーサが歪虜怒王を潰すと言っている」というデマが流れ更に様々な尾ヒレが付いた噂が広まり当然、真純達の耳にも入る。
これに対し「報復するべき!」とゆう強硬論を主張する者も出たが真純は勿論反対。事態を収束させるべく事の経緯を調べ始める。

すると真純さえも知らなかった事実が次々と出てきた。

この頃、神奈川県下での『歪虜怒王』の知名度は絶大で、それを利用して悪さをする者が少なからず存在しており上記のスケ番も、この例に漏れない輩であった。
無関係な連中が『歪虜怒王』を騙って暴走行為、恐喝等を行ない気付かない内に自分達までもが悪名高き存在に成っていた事に愕然とする真純。

《こんなんじゃ私達がどんなに違うと訴えても周りから見たら暴走族と同類、いや、その物と思われて当然ね……》

その後、責任は自分に有ると感じた真純は具体的な行動に出る。

つづく

コメント

  1. 大阪の永ちゃん狂い♪ より:

    待ってました
    楽しみにしとります

  2. AKIRA より:

    大阪の永ちゃん狂い♪さん♪^^
    いつも本当にありがとうございます
    以前より更新が遅くなりますが出来るだけコンスタントにUPしていきますので今後もヨロシクお願いします

  3. ハルモニア より:

    ィヨォ!待ってました!
    また魅力的なキャラクターが登場することを期待しています。
    それにしても『歪虜怒王』はフリガナなしでは読めませんでした(苦笑)

  4. AKIRA より:

    ハルモニアさん♪^^
    毎度ありがとうございます
    うぅ~すみません今後YAZAWAなキャラの登場は無いんですが引き続きご愛読の程をヨロシクお願いします
    >フリガナ
    恐らくフリガナ無しで読めた方はいらっしゃらないと思いますが(笑)
    自分的には中々な当て字だと自画自賛しております(爆)

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました