日中外交が緊迫:高市早苗首相の台湾有事発言と薛剣駐大阪総領事の問題投稿

1.発端:高市首相の「台湾有事」答弁

11月7日、衆議院予算委員会にて高市早苗首相は、仮に台湾が海上封鎖などを受けた場合、かつそれが「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と述べ、必要に応じて自衛隊の対応も想定し得るという考えを示しました。 Reuters

これまで日本は「台湾有事=日本の存立危機事態」という明言を避けてきたため、大きな注目を集めました。 Reuters

2.投稿:駐大阪総領事・薛剣氏のX(旧Twitter)発言

翌11月8日、在大阪の中国総領事、薛剣(せつ けん)氏が自身のXアカウントで、日本メディアの記事を引用しつつ次のように投稿しました:

「勝手に突っ込んできたその汚い首は、一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟はできているのか」 フォーカス台湾 – 中央社日本語版

この投稿は数時間で削除されましたが、すでに多数のスクリーンショット等が拡散しており、外交上の重大事態として受け止められています。 毎日新聞

3.日本政府・台湾・米国の反応

  • 日本政府は、外務省を通じて中国側に対し「極めて不適切」「外交儀礼を逸脱する発言」であるとして抗議しました。 Reuters
  • 台湾の政府も、外交部報道官を通じて「このような行為は明らかに外交マナーを逸脱しており、深刻に受け止めている」と非難しました。 フォーカス台湾 – 中央社日本語版
  • アメリカでも、駐日米大使がX上で「The mask slips — again. … now he threatens Prime Minister @takaichi_sanae and the Japanese people.」と投稿し、薛氏の発言を非難しています。 JBpress(日本ビジネスプレス)

4.中国側の反応と対応

中国外務省はこの件について、「高市首相の発言が誤りであり危険だ」とする立場を明らかにしつつ、薛氏の投稿を「個人の発信」として扱う姿勢をとりました。 Reuters

つまり、 中国政府としては総領事の発言を全面的に謝罪・撤回するというより、日本側発言の非難を前面に出しています。

5.論点:外交儀礼・慣行から見た問題点

  • 駐在外交官として、派遣先国の政府首脳を「斬ってやる」と示唆するような投稿は、通常の外交儀礼・慣行から大きく逸脱しています。 JBpress(日本ビジネスプレス
  • 日本では、こうした発言があった場合、外交官を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去とするという対応が過去にもありますが、今回は現時点でそのような措置には至っていません。 JBpress(日本ビジネスプレス
  • また今回の発言が、台湾海峡を巡る日・中・台・米という複数国の安全保障の文脈と直結しており、地域の緊張を高めかねないものとなっています。 Reuters

6.今後の見通し

  • 日本政府は中国側に対して引き続き「然るべき対応」を求めており、対中関係においてこの種の「信頼できる対話」が損なわれることを警戒しています。 CNA
  • 双方の反発がすぐに沈静化する兆しはなく、今後、在日中国公館の扱いや日中間の安全保障・経済協力分野での不協和音が広がる可能性も指摘されています。 JBpress(日本ビジネスプレス
  • また、外交慣行の観点から、今後同種の発言が繰り返されるかどうか、そして日本側がどのような抑止/対応措置をとるかが注目されます。

参考リンク

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