ブラック・サバスとは? ―【Black Sabbath】 ロックを“重く暗く”変えた伝説の始まり

今年7月5日に開催されたラストコンサートにて、その歴史に幕を閉じ、更に、その17日後にフロントマンのオジーが逝去した事で再び注目を集める様になった【ブラック・サバス/Black Sabbath】

この記事では、ヘヴィメタルの原点とも言われるブラック・サバスについて、出来るだけ初心者にもわかりやすく紹介したいと思います。

1. ブラック・サバスってどんなバンド?

ブラック・サバス(Black Sabbath)は、1968年にイギリス・バーミンガムで結成されたハードロックバンドです。

オリジナル・メンバーは、

  • オジー・オズボーン/Ozzy Osbourne (ボーカル)
  • トニー・アイオミ/Tony Iommi(ギター)
  • ギーザー・バトラー/Geezer Butler(ベース)
  • ビル・ワード/Bill Ward (ドラム)
左からギーザー、トニー、ビル、オジー

彼らはもともとブルースロックやジャズの影響を受けた若者たちでしたが、ある日「恐怖映画のような音楽をやってみよう」と思いつき、重く不気味なサウンドを生み出しました。
これが後の“ヘヴィメタル”という新しいジャンルに多大な影響を与える事になります。


なぜ「重くて暗い」音楽になったのか

ギタリストのトニー・アイオミは工場での事故で指先を失い、自作の義指をつけて演奏していました。
このため、通常よりも低いチューニングで演奏せざるを得ず、それがサバス独特の「ドゥーム(重苦しい)な音」につながりました。
偶然の事故が、音楽史を変えたとも言われています。


代表曲とその世界観

ブラック・サバスの音楽は、悪魔・宗教・戦争・人間の苦悩といったテーマを扱うことが多く、当時としては非常に異端でした。
初心者にもおすすめの代表曲は以下のとおりです👇

曲名発表年ポイント
Black Sabbath1970雷鳴のSEから始まる恐怖映画のような名曲。バンド名の由来でもある。
Paranoid1970サバスの楽曲の中で最も有名な曲。シンプルなリフとスピード感が魅力。
Iron Man1970ロボットのようなリフと歌詞が印象的。ヘヴィメタルの象徴的存在。(プロレスラー、ロード・ウォリアーズの入場テーマ曲としても有名)
War Pigs1970反戦メッセージを込めた社会派ロック。サバスの深みを知る一曲。

これらの楽曲はどれも、ギターの重いリフとオジーの妖しい声が特徴。
「暗い」と言われがちですが、その奥には人間らしいメッセージが隠れています。


ブラック・サバスが残した影響

彼らのスタイルは後のメタリカ、アイアン・メイデン、スリップノットなど数え切れないほどのバンドに影響を与えました。
ロックを“明るく盛り上がる音楽”から、“内面や社会を見つめる表現”へと変えた立役者でもあります。
まさに「ブラック・サバスがいなければ、ヘヴィメタルは生まれなかった」と言われるほどです。


🎤 ブラック・サバス歴代ヴォーカリスト一覧

ヴォーカリスト在籍期間主な参加アルバム/音源備考
1オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)1968–1977、1997–2006、2011–2017『Black Sabbath』(1970)『Paranoid』(1970)『Master of Reality』(1971)『Sabbath Bloody Sabbath』(1973)『13』(2013)など初代であり象徴的存在。カルト的カリスマ性と独特の声で“ヘヴィメタルの原点”を築いた。
2デイヴ・ウォーカー(Dave Walker)1977–1978アルバム未参加(BBC出演とリハーサル音源のみ)元Savoy Brown。オジー脱退直後に短期間参加。正式録音前に脱退。
3ロニー・ジェイムズ・ディオ(Ronnie James Dio)1979–1982、1991–1992『Heaven and Hell』(1980)『Mob Rules』(1981)『Dehumanizer』(1992)Rainbowの初代Voとしても有名。力強い高音とファンタジックな歌詞でバンドを再生。のちにHeaven & Hell名義でも活動。
4イアン・ギラン(Ian Gillan)1983–1984『Born Again』(1983)元Deep Purple。強烈なシャウトとブルージーな歌声。短期間で終了。
5デイヴィッド・ドナート(David Donato)1984–1985アルバム未発表(デモ録音のみ)元White Tiger。音楽誌インタビューがきっかけで加入が知られたが、公式音源なし。
6グレン・ヒューズ(Glenn Hughes)1985–1986『Seventh Star』(1986)元Deep Purple/Trapeze。ソウルフルな声質。もとは「トニー・アイオミのソロ」企画。
7ロン・キール(Ron Keel)1984頃(短期間)アルバム未発表(セッション音源)元Steeler/Keel。『Seventh Star』制作初期に短期間だけ在籍したとされる。
8レイ・ギラン(Ray Gillen)1986–1987『The Eternal Idol』(1987/未発表版でヴォーカル録音)途中で脱退したため公式版は再録。後にBadlandsに加入。
9トニー・マーティン(Tony Martin)1987–1991、1993–1997『The Eternal Idol』(1987)『Headless Cross』(1989)『Tyr』(1990)『Cross Purposes』(1994)『Forbidden』(1995)クラシカルで荘厳な声。ディオ期とは異なるダークな美しさを表現。一部のファンの間では歴代最高との声も。
10ロブ・ハルフォード(Rob Halford)※ゲスト1992、2004(ライブ)ライブ参加のみジューダス・プリーストのフロントマン。ディオ不在時に代役出演。
新堂日章
新堂日章

I・ギラン在籍時にはライヴで♪Smoke On The Waterも演ってたりして「当時はサバスのコンサートでコレ聴けたのか?」と驚くのと同時に本家(Deep Purple)よりもHard&Heavyなサウンドに思わず笑ってしまったな🎵


🕰️ 時代別まとめ(簡易版)

時代区分主なヴォーカリスト代表作特徴
初期黄金期(1970–1978)オジー・オズボーン『Black Sabbath』『Paranoid』『Sabbath Bloody Sabbath』ヘヴィメタルの原点を確立。
再生期(1979–1982)ロニー・ジェイムズ・ディオ『Heaven and Hell』『Mob Rules』神話的・荘厳な世界観。
実験期(1983–1986)ギラン/ドナート/ヒューズ/キールなど『Born Again』『Seventh Star』多彩な音楽スタイルを試みた転換期。
マーティン期(1987–1996)トニー・マーティン『The Eternal Idol』『Headless Cross』ドラマチックでメロディックな路線へ。
最終章(1997–2017)オジー・オズボーン『13』(2013)原点回帰とともに幕を閉じる。

💬補足1:ディオ期の「Heaven & Hell」名義

2006年には、ロニー・ジェイムズ・ディオ、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ヴィニー・アピスの4人で**「Heaven & Hell」**という名義のバンドを結成。


実質的にはブラック・サバスのディオ期メンバーによる新プロジェクトで、2009年にアルバム『The Devil You Know』をリリースしています。

Amazon.co.jp: The Devil You Know : ヘヴン・アンド・ヘル: デジタルミュージック
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💬補足2:幻のヴォーカリストたち

  • ロン・キール … 『Seventh Star』初期セッションに参加。わずか数週間で離脱。
  • デイヴィッド・ドナート … デモ録音は存在するが、正式リリースなし。
  • いずれも「正式メンバー」としてクレジットされることはなかったが、バンドの移行期を支えた重要人物

歴代のベーシスト、ドラマーは今回は割愛します。

ブラック・サバスのファンを公言している日本の著名人

ミュージシャン/音楽関係者(個人・バンド)

  • 人間椅子(和嶋慎治/鈴木研一) — 結成ルーツや若い頃のエピソードで「鈴木がカセットでサバスを送った」「高校時代にサバスをコピーした」など、ブラック・サバス愛を明言。公演でのカバーや発言も多数。 SPICE(スパイス)|エンタメ特化型情報メディア スパイス
  • BORIS(メンバー各氏) — インタビュー等でブラック・サバスを重要なルーツ/影響として語っている。 Rooftop
  • 西山瞳(ジャズ・ピアニスト/コラムニスト) — 自身の連載でメタル/ブラック・サバスへの愛情や最後のライヴ観覧の感動を綴っている(公言)。 Mikiki

芸能人・タレント・パーソナリティ

  • 佐藤浩市(俳優) —ブラック・サバスに限らずメタル好きで有名。NIKKEI STYLE
  • ふなっしー(ご当地キャラ/タレント) — ブラック・サバスのファンであることを公言(サバス作品リリース時のコメント等)。 BARKS
  • クリス・ペプラー(ラジオDJ/パーソナリティ) — 公のラジオ対談等でブラック・サバスを好む旨を語っている。番組テキスト等に記録あり。 J-WAVE 81.3 FM RADIO

その他(著名人/公人)

  • 高市早苗(政治家) — ラジオ出演で「小学生の頃にブラック・サバスを聴いていた」等、私的なルーツとしてサバスを挙げている。公の場での発言記録あり。 オリコン

🌌まとめ

ブラック・サバスは、単なる「暗い音楽のバンド」ではありません。
彼らは、自分たちの弱さや恐れ、社会への疑問を音に変えたパイオニアです。
現代のロックやメタルを聴くとき、その“影のルーツ”にはいつもサバスがいます。
ぜひ一度、イヤホンで「Paranoid」や「War Pigs」を聴いてみてください。
50年以上経った今でも、その重厚なサウンドは決して色褪せません。

新堂日章
新堂日章

因みに自分はいつも「世界初のヘヴィ・メタル・バンドは?」と問われたら「サバスでしょ」と答えてます🎵

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