ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆056

ベンツを中心に左右に停まった型遅れのセドリックやグロリア等から柄の悪い男達がゾロゾロと出てきてはトランクから金属バットや鉄パイプを取り出し始めた。


「へへへへ!お前等、終りだよ!」
木刀らしき物を片手に正三が前に出てくる。
正三の後ろに横一列に配置する16人程の男達。
「お前等、全員、思い知らせてやるよ!俺を怒らせたら、どんな目に遭うかな!!」
さっきの情けない泣きべそ野郎とは思えない位に威勢がいい。


その危険な空気に里香達は再び戦慄を覚えたが眞由美と拳斗は平然としていた。
「ったく面倒くさいわねぇ」
「車に乗ってなさい」
拳斗は里香達をランクルに乗せ脱いだジャケットをボンネットの上に置いた。
「やる気、満々ね」
「最近、運動不足でな」
「実は私もなんです」
遥子が拳斗の隣に立つ。
「頼もしいわね」と笑う眞由美。
「それじゃ、とっとと片付けて」
指をポキポキと鳴らす拳斗。
「美味しいビール飲みに帰りましょう」
軽いストレッチを始める遥子。
そして臨戦態勢を整えた眞由美達は出陣し始めた。


「おいオイやる気かよ!」
余裕綽々に声を上げる正三。
拳斗を中心に横一列に近づいてゆく眞由美達。
「オイおいオイ!この人数相手に勝てるとでも思ってるのかよ!!」
木刀を地面に叩きつけて威嚇する。
だが全く効果が無い。
「大人しく詫び入れた方がいいんじゃねぇのか!?」
それでも眞由美達は止まらない。
予想外の展開に正三は、うろたえ出した。
「おいオイおいオイ!俺達は女相手でも容赦しね・・・」
「やかましい!この包茎!!」
「なっ!・・・・・」
眞由美の言葉に絶句する正三。図星であった。
「お前等みたいなのが何人集まったってチンカスは所詮チンカスなんだよ!」
この眞由美の下品な御言葉に遥子は横で苦笑する。
「綺麗さっぱり掃除してやるから覚悟しな!この粗チン野郎!!」
「な・・・・何をぉ~・・・・・」
粗チンも図星であった。
眞由美の言葉は正三の肉体的コンプレックスに一々触れた様で、これだけで正三のプライドはズタズタになった。


「や・・・・殺っちま・・・」
泣き顔で正三が号令をかけようとしたその時
突然、雷の様な爆音が成り響いた。
「!」
辺りを切り裂く様なブレーキ音と共に一台また一台と矢継ぎ早に車と単車が正三達の背後に続々と走り込んで来る。
「な・・・・・な・・・・・・」
唖然とする柄の悪い男達。
YAZAWA仕様に彩られた無数のマシンが正三達を包囲し始めた。

つづく

コメント

  1. chinatown より:

    矢沢仕様のバイクが続々と集まってくるシーンexclamation×2
    BGMは何かな?って色々考えちゃいました(^^)

  2. AKIRA より:

    chinatownさん♪^^毎度です
    そうですね~
    皆様が思い思いのBGMを浮べて読んで下されば
    これまた嬉しいのですが
    ♪Take It Timeは如何でしょう?

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