ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆057

ケンメリ、ハコスカ、マークⅡツアラーV、クラウン、ワゴンR、エルグランド等にZZR、ファット・ボーイ、CBX、カタナ、等々
様々な年代、多様な車種の矢沢仕様車とバイクが正三達を背後から追い詰める様な陣営を形作る。


ナンバーも品川、横浜の他に湘南、尾張、なにわ、広島、札幌、秋田等、幅広く、彩られたYAZAWAのグラフィックもキャロル時代の物から最近の物と、これまた幅広い。


地響きの様なエンジン音に容赦無く浴びせられる無数のライト。


この状況下に動揺する正三と取巻連中。


だが、これには眞由美達も呆気に取られてしまった。
「あらぁ~、これは予想外の展開だわ」


先頭で現れた唯一、YAZAWA仕様で無いネイビー・マイカ・メタリックのシーマの運転席から真純が降りてきた。
「あんまり遅いから迎えに来たわよ」
正三等を挟んで会話が成される。
「悪いわね。でも、まだ帰れそうにないわ」
「その様ね。お楽しみは共有しましょ」
真純は右手に持った特殊警棒を振り抜いて伸ばした。
それが合図かの様に続々と車とバイクから降りてくる眞由美と真純の仲間達。
真純以外は皆、武器を持っていないが男女、共にステゴロに自信タップリの雰囲気を醸し出している。


このシチュエーションで一番動揺してるのが、さっきまで威勢が良かった正三であった。
正三は助けを求める様な目でベンツを見る。
運転席と助手席から二人の男が同時に外に出た。
「おいオイおいオイ!素人さんが無茶しちゃいけねぇなぁ!!」
「本職相手に一悶着、起こそうなんざぁ命が幾つあっても足んねぇぜぇ!」
北の将軍様の長男にそっくりな双子が威嚇をし始めた。
だがそれは誰が見ても虚勢を張ってる様にしか見えず何処か滑稽な有様であった。
この事態の変化に里香達も車から出てきて今後の行方を見守り始める。
「今からでも遅くはねぇから大人しく帰りなや」
双子の三文芝居が続く。
「さもないとお前さん等の家族まで地獄を味わう事になっちゃうぜぇ!」
「あぁ~それはこっちも望む所じゃあねぇんだがなぁ!」
「だがそっちの出方次第じゃあそれも致し方ねぇわなぁ兄弟よ!」


ここで何者かが口を開いた。
「お前……鴨川か?」
「ああ~ん?」
これ以上無いとゆう位な鬼の形相を作って声の方に眼を飛ばす正一。
だが相手の顔を見た途端にその顔は驚愕の表情に変わった。
「わ………若林さん!!」
「えぇっ!?」
その名を聞いた次男の正二も狼狽える。
「お・・・お・・・お久し振りです!!」
途端に直立不動になってお辞儀をする正一と正二。
この二人の豹変振りに正三達は言葉を失った。
「何やってんだお前等」
「い・・・いや・・・・これはつまり・・・その・・・」

そんな中
「お知り合いですか?」と遥子が尋ねる。
「残念ながらね」頷く拳斗。
「まぁ~だ、こんな下らない事やってたの?いい加減、真面目に働きな!」
どうやら眞由美も、お知り合いの様だ。
反射的に眞由美の方へと視線を向ける正一。その瞬間

「!!」

正一は化物でも見たかの様に真っ青になり脅え叫んだ。


「ひっ!ひぃ~~~~!!ハマのメドゥーサぁあ!!!」


ブチブチブチッ!!!
次の瞬間、眞由美の豪快なジャンピング・ニー・パットが正一の顎に炸裂していた。

つづく

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