ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆127

宴も佳境に入ってくると洋助父の様子がおかしくなってきた。

口を開いたり閉じたり唇を繁盛に舐めだし右手を口元にやっては離してを繰り返し落ち着かない。

「あんたぁ!アカンでぇ!」

様子に気付いた洋助母が睨む。

「そ、そない言うたかて、もう2ヶ月も我慢しとるんやでぇ」
「それがどないしたんや!もう煙草なんぞキッパリ止めてしまいぃ!」

他の参列者が煙草を吸出し、始めの頃は気にしない様に心掛けてたのだが時間が経つにつれ口寂しくなり情緒不安定になってきた洋助父。

「せ、せやけどメデタイ席やないかぁ。1本位エエやろ?」
「アカン!今、吸ったら元の木阿弥や!孫の顔、見とうないんかっ!」

愛煙家である洋助父だがこの年の健康診断の結果、遂にドクター・ストップが掛かり以来、強制禁煙させられている。

「な、なぁ、せめて一口位ならぁ…」
「アンタァ!エエ加減にしいやぁ!」
「はぁ~っ、吸いたいのう、吸いたいの~ぅ」

その時

バコーーーーーーーンッ!!

何者かが洋助父の頭を背後から思い切り引っ叩いた。

勢い良くテーブルにデコを叩きつけてしまう洋助父。

「吸いたい吸いたい、うっせんだよーっ!!」

眞由美であった。かなりの泥酔モードである。

「オイこらぁ!」

両腕で洋助父の胸倉を掴む眞由美。

「大の大人が中坊のガキみたいに女々しい事ほざきやがって恥を知れ恥をーっ!!」
「せやアンタ!麻生はんの言う通りやでっ!」
「アタシは朝倉だぁ!!」

この時、愛美と洋助は、お色直しの為、席を外しており影虎は眞由美の兄達のテーブルで酒盛りの真っ最中。拳斗は急な仕事絡みの電話で会場の外に出ており眞由美を止められる者は誰もこの場に居なかった。

「おう!あんたが煙草を吸えばアタシは洋助からお母さん呼ばわりされんで済むんかぁ?」
「か、関係おまへんがな………」
「あんたが煙草を吸えばアタシはレディ・セブンティーンになれんのかぁ?」
「な、なんの話でっか?」
「そんなに吸いたきゃなぁ!そんなに吸いたきゃなぁ!そんなに吸いたきゃアタシの乳を吸えぇーーーっ!!」

そう叫ぶと眞由美は自らの襟を掴んでは豪快におっぱいポロリを披露した。

会場全体の男集からオォーーーッ!と歓声が上がり携帯で写メまで撮ってる者まで居る。

「ホ、ホンマによろしいんでっか!?」

その美乳を目の当たりにして尋常じゃない程に鼻の下が伸びる洋助父。だが当然

「何がよろしいんでっかやアンタァ!!」

ドーーーーーーーーン!!

今度は自らの伴侶にど突かれてしまう。

「いや、せやけど見事な乳しとりますなぁ麻生はん」
「だからアタシは朝倉だぁーーーっ!!」

その光景をワイングラス片手に傍観していた真純は思わずニヤけてしまっていた。

「まーた爆弾、増やしてくれたわねぇww」

そして新郎新婦、再入場の時間。

新郎はYAZAWAモードのダブルの白スーツ。新婦は白地に赤い薔薇とYAZAWAのフデロゴの刺繍を入れたチャイナドレスを身に纏いYASHIMAの演奏する♪A Dayに合わせての登場、の筈だったのだが、この時YASHIMAが演奏していたのは♪Rambling Rose。

「ちょっと予定と違うじゃない!」と憤る愛美。

しかも誰もこちらを見ていない。
参列者が注目してる方を見て愛美は唖然とした。

「マ、ママッ!」

そこには主賓のテーブルに上ってトップレス姿でビール瓶をマイク代りに熱唱してる眞由美の姿が。
娘の結婚披露宴だという事を完全に忘れている。

「こらオモロイなぁ!」と義理の息子。

しかも眞由美の歌は、かなり演歌調でコブシが効きまくりなのだがマイク無しでも会場全体に聴こえる程に声量が強い。

「自分の事を歌っているのかアイツは」

電話を終え席に戻ってきた拳斗は呆れ果てていた。

因みにRambling Roseとはツルバラの事だがrumbleには(ガラガラ、ゴロゴロと)音を立てる、轟音という様な意味もある。

「止めなくていいの?」と真純。
「あそこまで行ったら俺でも手に負えん」

やがて曲がエンディングを迎えると

「次ぃ!アタシの歌ぁ!!」
「………へっ?」

何のこっちゃか判らない敏広。

「アタシの歌だよっ!!」
「レ、レディ・セブンティーンだろ多分!」と賢治。

慌てて言われた通り演奏を始める。

「いいわよいいわよぉ!I’m just a lady seventeen~♪」

とりあえずホッと胸をなでおろす敏広達。

だが演奏しながら恐怖政治とは、きっとこうゆう物なのだろうとYASHIMAの面々は独裁国家に住まう人々に思いを馳せた。

つづく

コメント

  1. ぺこちゃん より:

    おもしろい~o(^∇^o)(o^∇^)o
    吹きだしまくりです(。≧∇≦。)
    こんな披露宴に出てみたい(爆)

  2. AKIRA より:

    ぺこちゃん♪^^毎度です
    楽しんでくれてセンキューどーもです
    >こんな披露宴に出てみたい(爆)
    何なら今度、どなたかの披露宴をプロデュースしてみては?(笑)

  3. chinatown より:

    ほんと、超過激な披露宴!!
    おもしろすぎです~~☆☆☆
    2012年も女トラ、絶好調ですね~~!
    遅れましたが今年もよろしくです~♪

  4. AKIRA より:

    chinatownさん♪^^毎度です
    今回も楽しんで頂きセンキューどーもです
    これも眞由美を始め個性的なキャラ達のお陰です(笑)
    もしかしたら年内で終わらないかもしれませんが懲りずに末永く&今年もヨロシクです

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