バスタオルを腰に巻き、もう一枚のバスタオルで頭を拭きながら部屋に入ってくるH。
因みにタオルはいずれもYAZAWAな物では無い。
冷蔵庫を開け中から350mlの缶ビールを取り出しグビッと飲む。因みにプレモルでは無い。
永悟がただただその場で立ち尽くしている中
「………と、どっちがいい?」
「は、ハイッ!?」
Hの言葉がよく聞き取れなかった永悟。裏返った声で聞き直す。
「だからぁ」何故か苛立つH。
「するのとされるの、どっちがいい?」
する?される?要するにHは立ち、受け、どちらもOKって事なのだが永悟には何を言ってるのかさっぱり理解出来なかった。
「決められないなら……」
缶を無造作にデスクに置くH。
「成り行きに身を任せようか」
腰に巻いていたバスタオルを外し、生まれたままの姿で永悟に近づいてくるH。
ボッキーーーーン!!♂
既に臨戦態勢に入っているHのイチモツが視界に入ると永悟はムンクの叫びの様な顔をしてに壁際にまで後退りした。そして
「ぼ、僕そんな趣味は有りません!!」
大声で叫ぶ永悟。更に首を何度も横に振って拒否反応を示す。
それを見てHは不可解な表情を浮かべる。
「……嘘だろ?」
「嘘なんかじゃありません!僕はノーマルです!!」
「嘘だ!君にはその気が有る!」
一体、何を根拠にその様な事を言い切るのか?
「素直になったらどうだ?ははん!初めてなんだな。怖がる事は無いさ。俺が優しく…」
「ぼ、僕は女が好きなんですっ!!」
それから永悟は、とにかく自分がノン気だという事を証明する為に年上のカノジョが居る事に加え好きな女性タレントやグラドル、更には最近お気に入りのAV女優の名まで思い付くままに捲し立て「勘弁してください!それだけはっ!!」と土下座した。
沈黙する二人。ホモ・ビデオの音声が流れる間抜けなシチュエーションの中
「………判った。顔を上げなよ」
それを聴いてホッとする永悟。言われた通り顔を上げると、お預けを食らって意気消沈しているHのセガレが視界に入ってしまい再び顔を伏せる。
「あ、ありがとうございます!」
「だけど、一つだけ頼みがある」
「えっ?」
「抱きしめさせてくれ」
「…………判りました。それくらいなら」
食われるよるは遥かにマシである。
そしてHに抱きしめられる永悟。当然、気持ちの良い物では無いし力一杯抱きしめられるので痛い。
しかも、その最中にHのイチモツが再びムクムクと膨らみそれが永悟の下腹部に否応無しに触れるので鳥肌が立ってくる。
更に頬擦りまでしてくるH。うっすらと伸びた髭がジョリジョリして更に苦痛と嫌悪感が増してくる。
早く終わって欲しいと切に願っていると突然Hが永悟の顔を強引に自分の方に向けた。そして
「ちょ、ちょっと!」
いわゆる顎クイ状態にされた永悟。そこにHの顔が一気に迫ってきた。
Hの吐息が自分の鼻先に触れる。だがその時
ガッ!!
永悟は全力でHを振り払った。その際に永悟の右肘がHのコメカミにクリーン・ヒット。
バタッ!!
「うぅ……」
KOされたHは倒れたまま唸り声を漏らす。
かつて拳斗に肘打ちをレクチャーしてもらった事が有ったが、それが思わぬ所で自分を救ってくれた。
「はぁ~っ……」
途端に腰を抜かしてしまう永悟。だがHが起きる前に逃げなきゃと、これも以前、拳斗に教えてもらった匍匐前進で必死の思いで玄関へと向かった。
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