ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆152

遥子の初めての男性経験は中学3年の夏休み。

二人の姉が居た為に早熟だった事も手伝ってセックスへの好奇心は人一倍旺盛であった。

また長女の麗子が大学、次女の涼子が高校生の頃に初体験を済ませた事実に対して妙な対抗意識が芽生えてしまい自分は何が何でも中学で処女を捨てると決意。そこで遥子が目を付けたのが同じ合気道の道場に通っていた20代半ばのサラリーマンであった。

遥子が小学生の頃から顔馴染みでオシャレでは無いが清潔感が有り真面目で誠実。

《この人なら優しくしてくれそう》と思い夏休みの稽古帰りに一緒に食事をしてそのまま男のアパートに押し掛け自ら誘う。

所がこの男は、この時童貞でガチガチに緊張してしまい、優しい所か、ぎこちないキスと愛撫に遥子は興醒め。反対に男の方は事が進むと盛りのついた猿の様に大ハッスル。

初めてで痛がる遥子の事などお構い無しにズコバコと激しく腰を振り、しかも物の数十秒で遥子の中で暴発。

幸いそれが妊娠に繋がる事は無かったが遥子の思い描いていた『make love』とはまるで違う現実と欲望丸出しだった、その男に幻滅してしまい遥子は暫く男嫌いになってしまう。

高校時代は女子校だった事も有り男と接する機会が殆ど無く、また麻理子といつも一緒だった為に恋愛しなくても常に楽しい時間を過ごす事が出来た。

大学に入ると多くの男子学生から声を掛けられたが遥子から見て魅力的な男は皆無だった為、全て無視。

実は遥子はこの頃に自分が極端に年上好きな事を悟る。

2度目の相手はあるイベント会社の社長。1年の時にバイト先だったライヴハウス関連の繋がりで知り合いやがて付き合い始める。

だが今度の男は真正のサディストで普段は絵に書いた様な紳士であったが夜の顔は全くの別人。
自己中心的な愛撫に強引なサービスを遥子に強要しては自分が満足するとさっさと寝てしまい、この男も遥子を満たしてくれる事は無かった。

そして次第に男の要求が拘束プレイや玩具を使用した物へとエスカレートして行き流石にそれ等は出来ないと拒否すると男は逆上。遥子に暴力を働く様になるも、逆に返り討ちに遭い、当然その日の内に別れる。

因みに数年後その男の会社は倒産する。

その後は暫く恋愛からは遠ざかり勉学とバイトに励む日々であったが、そんな頃に矢沢永吉に一度だけ触れる機会が有った。

部屋で勉強中、休憩を予てテレビを付ける遥子。

ザッピングを繰り返していると偶々BSにて何かのライヴが放映されてる様なのでチャンネルを止めた。

それは1999年の矢沢永吉による横浜国際総合競技場でのコンサート。いわゆる『あり爆』の模様であった。

小休止のつもりだったが観始めるとそのままずっと観続けてしまった遥子。

特に衝撃や感動と言った物は受けなかったが、この時、遥子が最も惹きつけられたのが後に伝説となる♪アイ・ラヴ・ユー,OKでのワン・シーン。

「お前……」

涙で歌えなくなった矢沢永吉を観て遥子は画面に釘付けになった。

過去に男の泣き顔は何度も見た事が有ったが、その度に男に対して情け無い、だらしないと感じたのに、この時ばかりは全く違う印象を受けたのだった。

《この人……何て色っぽい泣き方をするんだろう》

遥子はこの時、初めて男の涙に胸がキュンとなった。

だが遥子が本当の意味でYAZAWAの洗礼を受けるには、もう少し時間と人生経験が必要であった。

つづく

コメント

  1. ぺこちゃん より:

    本当に何度見ても、あのシーンは胸がキュンとしますね黒ハート
    私の周りの男性ファンもみんな泣いていて、ファンに成りたてだった私はちょっと驚きましたが、今なら、その気持ちがわかりますハートたち(複数ハート)
    あり爆と同じスタジアムで、9月1日ムードどんなライブるんるんになるのかと思うとわくわくしますハートたち(複数ハート)

  2. AKIRA より:

    ぺこちゃん♪^^
    この時は自分もアリーナ最後尾でマジ泣きました
    流石にキュンとはしませんでしたけどね(笑)

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