ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆197

「まぁ!剛健じゃない!」
「おぉ~!皆さんお揃いで!」
「暫くだな『親分』」
「拳斗兄ぃ!だからその呼び方は止めてぇよぉ!」

来店してきた男の名は椎名剛健。勿論YAZAWAファンで漁師、板前を経て現在は三浦半島で海の幸専門の飲食店を数店舗経営。この不景気に利益を上げている敏腕実業家なのだが外見がどう見てもヤ○ザなので廻りからは『親分』『組長』と呼ばれている。

すると剛健の後ろから二人の男女が付いてきた。

「あら、莉奈ちゃん!と、ちょっとちょっと栄太郎じゃない!」
「こんばんはぁ」
「どうも!」

女の方は篠原莉奈。男の方は谷沢栄太郎という名であった。

「栄太郎さん、また痩せたんじゃない?」と愛美。
「そうかなぁ?」
「節約も程々にしなさいよ!」と眞由美。
「大丈夫ッスよ」
「それはそうと今日は何故に貸切で?」
「今日の主役はあちらの方よ」

真純に促され奥の席を見る剛健達。

「おぉっ!神崎さんの奥様!ご無沙汰しております!!」

深々とお辞儀をする剛健に釣られて同じ様にお辞儀をする莉奈と栄太郎。

澄子も慌てて立ち上がり頭を下げる。

澄子にとって剛健達は初対面に等しいが3人とも雄一郎とは顔馴染みで剛健に限っては葬儀にも訪れてくれていた。

追加飛び入りゲストも混ざって改めて乾杯が成される。

実は、莉奈と栄太郎は偶々OYHの近くでバッタリ顔を合せ、そのまま一緒に店へと向かうも貸切のプレートを見て帰ろうとした所に、これまた偶々、剛健が現れ「大丈夫だよ!どうせYAZAWAな集まりなんだから」と入店。

『本日貸切』のプレートを掲げておけば一見さんは入ってこないが剛健の様な馴染みの者は、それでも構わず入ってくる。

また、そんな飛び入り客も歓迎してしまう所がOpen Your Heartという店の魅力でもあった。


つづく

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました