ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆044

「あーっクソーッ!ムカツク!!」


ゲーセンのパンチング・ゲームにパンチを打ち込む例の4人組のリーダー格。
今後はこの生徒をAと表記する事にする。


「他の奴にターゲット変えっか?」と4人の中で一番背が高いB。
「いや、あいつだけは絶対に許せねぇ!!」とA。
「あぁ!俺もあのナメくさった野郎はフルボッコにしてやらなきゃ気が治まらねぇぜ!!」と最も血の気が多いD。
「だけど何だってお前、あのガキがそんなに気に入らねぇの?」と、4人の中では割と冷静なC。
「うっせんだよ!」と答えをはぐらかすA。


―――時はA達が2年生だった頃の3学期の1月―――


「悪いけど私、あなたみたいなの全然タイプじゃないの」
「じゃ、じゃあどんなのがタイプなんですか!?」
「ん~、そうねぇ・・・陸上部の1年で背の高い子いるでしょ。マラソン大会で1位取った子。彼なんてタイプだわ」
「!!・・・あんな奴が!?」
「だってあなたと正反対だもの。それに何か彼って可愛いし」
そう言い放ち、この3年生の女子は立ち去った。



元々、永悟を気に入らないと思っていたAにとって、これはプライドを大きく傷付けられる出来事であった。
それが逆恨みと転化して永悟を目の仇にする様になり、また他の3人もそれに便乗して永悟に絡む様になった訳である。


「やっぱシメちまおうぜ」
「でも学校じゃあ邪魔が入るしよぉ」
「って事はよぉ、学校の外でやればいいんじゃね?」
「お前、頭いいな!」
いい訳ないがコイツ等の脳味噌のレベルはこんなもんである。
「で、具体的にどーするよ?」
暫く考え込む4人組。


その時
「よーぉよーぉ、おめぇらどうしたYoーッ」
タレントの出○哲○に似た、いかにも黒人ラッパー被れの男が近づいてきた。


「あっ」
「どうも」
挨拶しながらも内心、舌打ちをする4人。


この男の名は鴨川正三。
4人組の二つ上の先輩で地元では知らぬ者は居ないワルであった。


高校にも行かず、とゆうより偏差値が低すぎて行けず、四六時中、盛り場にたむろって4人組の様な後輩達を見つけてはちょっかいを出している。


だがワルと言っても実は喧嘩は弱く双子のヤクザの兄がいる為に皆、それを恐れて腫れ物に触るように接しているので、それを自分の実力と勘違いしていた。


そしてこの日も正三は、まるで♪キザな野郎、の如く自慢話を4人組に話し始める。


「凄いッスねぇ~モテモテじゃないッスか!」
「羨ましいッス!」
愛想の良い返事をしてるが当然、本気で聞いてはいない。


「女なんてぇのはよぉ、コレ(金)とコレ(下半身)でイチコロだぜぇ」
因みにこれ等の話は全部ホラである。


「所でお前等、さっき何、話してたん?」
「え?」
「シメちまおうとか学校の外とか言ってたじゃねえの」
地獄耳である。
隠す必要が無いのでA達は、ありのままを話した。
「そんな奴、簀巻にして多摩川に流しちまえばいいんじゃね!」
じゃあ、お前やってみろと言いたい所だが言える筈もない。
「先輩も一緒にどうッスか?」
建前で誘ってみた。
「いらねぇよ。女でも居たら別だけんど」
この時Aが「女でも居たら」とゆうキーワードに反応した。
「それじゃあな。何かあったら言って来な」
自分の言いたい事だけ言ったら、その場に飽きたのか、とっとと行ってしまった。


「ケッ、誰が行くかよ!」
小声で悪態を付くB。
「くっくっくっくっ」
「どうしたん?」
含み笑いを発するAを怪訝な表情で見る他の3人。
「あの馬鹿も時には役に立つ事、言うんだな」
「そんなのあったか?」
「女だよオンナ」
Aの頭の中で愚劣な計画が着々と練られていった。

つづく

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