ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆019

麻理子が最初に所有した矢沢永吉のCDは昨年のクリスマスに遥子がプレゼントしてくれた2枚組のベストアルバムのTHE ORIGINAL。


その後、年明け早々に自分でTHE ORIGINAL 2を購入。


それから先日の新年会でも話題に上った『情事』を今日の仕事帰りに買ってきて、たった今、一周、聴き終えた所であった。


矢沢永吉と言えばイコール・ロックとゆうイメージが当然ながら一般的であるが、この頃になると麻理子の矢沢永吉に対するイメージは最初の頃と比べると、かなりの変化があった。


《バラードも多いし歌声も素敵》


この頃の麻理子のお気に入りは♪BELIEVE IN ME ♪あ・い・つ ♪YES MY LOVE  ♪ラスト・シーン ♪DIAMOND MOONと言った所だが♪ROCKIN’ MY HEARTや♪YOUに♪夜間飛行、等も好みであった。


麻理子はコンポのPLAYボタンを押して『情事』をリピートし始めた。


♪SOMEBODY’S NIGHTのイントロの稲妻が鳴り響く中で2作のベスト盤を棚に仕舞おうとして椅子から立ち上がる。
幅1メートル程の本棚の内、真ん中辺りの3段がCDで埋まっている。
その3段目の僅かな隙間に、そっと2枚のCDを押し込んで棚を見渡した。


ざっと300枚以上あるCDの殆どは実は麻理子が自分で買った物では無かった。
1段目の右端から1枚のCDを取り出す。
ビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街《52nd Street》』


麻理子が子供の頃からのお気に入りの1枚である。


そしてもう1枚CDを取り出す。
これも『ニューヨーク52番街』
だが、こちらは最初に取り出した物より、かなり年季が入っている。


この様に麻理子の部屋にあるCDの中には何種類か同じ物が2枚あった。


《楓叔母さん………》


今度はフォトフレームに視線を移す。
右上スペースに入れて飾ってある遥子と一緒に写っていない、もう1枚の写真。
それは麻理子が小学生の頃に叔母の森野楓とディズニーランドで一緒に撮った物であった。

つづく


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