ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆024

初めてOpen Your Heartに訪れた客だったが眞由美は、その女の顔に見覚えがあった。
商売柄、一度会った者の顔は忘れないが、この時点では何処で会ったか迄は思い出せなかった。


遥子と麻理子しか客が居ない店内で女は何か言いたそうな表情のまま、その場に立ち竦んでいる。


「どうぞ」


眞由美が空いてるカウンターの席を手で示して促す。


「あ、はい・・・」
ゆっくりと歩みだす女。遥子達のいる止まり木から2つ隣に座った。


女の前にコースターとお絞りを置く眞由美。


「あの」
「あ、あの」


眞由美と女が同時に口を開いた。


「あ、すみません・・・」


女はそのまま黙り込んでしまったので眞由美が改めて話を切り出す。


「前に一度、お会いしてますよね?」
「は、はい!」


女の表情が明るくなる。


「ごめんなさい。でも、いつ何処で会ったのか迄は思い出せないんです」

「8年前、**県の****会館の2階席です!」


女の発したキーワードは眞由美の記憶を引き出すのに充分であった。


「あっ!あの時の!!」
「はい!その説は本当にありがとうございました!!」


眞由美に頭を下げる女。


眞由美は遥子と麻理子の方に顔を向けた。


「こちら、さっきの話のお母さんよ」
「ええぇ~~!?」


本気で驚く二人。


当然ながら事情を知らない女は困惑の表情を浮べた。


つづく

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