ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆028

高校を卒業後、里香はそのまま横浜の大学に進学し、そこで後の旦那と知り合い付き合い始める。


大学卒業後に里香はマンション経営をしている東京都大田区の実家に戻って実家と取引のある不動産会社に就職。
後の旦那は出身地の島根に戻って暫く遠距離恋愛が続くが2年後に旦那の1年間に及ぶ熱烈なプロポーズを受け入れ結婚。島根に嫁ぐ事になる。


旦那の実家は地元の名士で里香の実家とは桁外れの資産家であった。
また旦那の両親も里香に対して非常に優しく接してくれ親戚筋からも余所者扱いをされる様な事は無く親切にしてもらっていた。
経済的な心配は皆無。子宝にも恵まれ矢沢のコンサートは勿論、旅行等に行く自由もあり正に誰もが羨む様な幸せな結婚生活を送っていた。


ただ唯一の問題が寄りによって肝心の旦那であった。


優しくて女遊びもせず育児にも積極的ではあったが優柔不断で堪え性が無く家が裕福であるが故に真面目に働こうとゆう気が全く無かったのだ。
何度か就職してはみたものの、いずれも長くて3ヶ月程度で辞めてしまい二言目には「僕が働かなくても里香を幸せにできるよ」が口癖であった。
旦那も里香の影響で大学時代から矢沢を聴いていたが精神的な面では全く影響を受けなかった様だ。


正直に言えば里香も始めは、それでもいいかと思っていた。
どんな奇麗事を言った所で経済力は必要だし他に不満は全く無かったからだ。
だが子供が大きくなるに連れてそんな環境に疑問を持ち始め子供の為にも定職に着くように説得して欲しいと旦那の両親にお願いするが、この試みも結局は失敗。
幾ら、お金に不自由しないとはいえ実家にパラサイトしている父親を見て我が子はどう思うだろうか。それが普通だと思ってしまわないだろうか。


本気で子供の将来を心配した里香は悩みに悩んだ末に離婚を決意。
旦那は当初かなりショックだった様だが結局はハンコを押してくれて親権も里香に与えてくれた。


「旦那の実家もよく親権を与えるのを許してくれたわね。男の子でしょ?」
「はい。でも旦那は二男坊で跡取りは他に居ますから」
「そうなんだ。良かった・・・って言っていいのかしら?」


だが気掛かりなのは肝心の息子の気持ちであった。
矛盾してしまうが普通に考えたら旦那の家庭で生活した方が息子の為には良いのではないか。息子もそれを望んでいるのではないか。
いざ離婚の手続きがスムーズに進むと本当にこれで良かったのか、また新たな迷いが出てきた。
しかし息子は里香が拍子抜けする位にあっさり母に着いて行く事に同意した。
そして昨年、小学校卒業後に息子を連れて東京に帰ってきたのだ。


運良く元の職場である不動産会社に再就職が出来、実家のマンションも空きがあったので、そこから母子二人で新たな人生を歩もうと思っていた。


だが思わぬ所で里香は有難くない歓迎を受ける事になってしまった。

つづく

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