ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆018

「ママ、時間よ」


時計が11時5分前を示した頃にカウンターの奥で洗い物をしてた愛美が告げた。


「え?もう?」
「楽しい時間は経つのが早いわねぇ」
「ホントに」
「それじゃ集金するわ。一人3千円ね!あ、神崎さんは、いいからね」
「え?いや、払うよ」と真純の言葉に戸惑う雄一郎。
「いいわよ。だってレモネード2杯しか飲んでないじゃない」
「そうよ。今日は私達がご馳走するわ」
眞由美も笑顔で真純に付け加える。
「そっか。じゃあ今日はお言葉に甘えて」
雄一郎は懐から手を抜いた。


「それじゃ2次会はワン・ナイト・ショーね」
「イエーーーーイ!!」
「今夜は歌い捲くるぞーっ!」
「今夜もでしょ?」
ワン・ナイト・ショーはOpen Your Heartからワンブロック離れた雑居ビルの地下にある、これまた矢沢ファンが経営するスナックで昔から永ちゃんの曲のカラオケが充実してる店であった。
「あ、私達はこれで失礼します」
「えぇ~~~!?」
遥子の言葉に不満を漏らす敏広達。


「何だよ~遥子ちゃんと麻理子ちゃんにアイ・ラヴ・ユー,OKを捧げるつもりだったのに」と敏広。
「前に捧げてもらったわよ」と遥子が呆れ顔で笑う。
「麻理子ちゃんにはまだ捧げてないぜ」
敏広の言葉に困った表情を浮べる麻理子。
「いいじゃん!せめて1時間だけ!!」
「ほらほら。下心、丸出しの男はモテないよ!」と真純。
「はい了解なり!」
意外な程に真純の言う事に素直に従う敏広。
「残念だけど気をつけて帰ってね」
「はい。お世話様でした」
「麻理子ちゃんもありがとね」
「こちらこそありがとうございいました」
「また来てね」と眞由美。
「はい是非!」
「私もこれで失礼するよ」と雄一郎。
「来てくれて嬉しかったわ。気をつけてね」
「今度は2次会まで行ける様に体力を戻しておくよ」
「神崎さんの♪長い旅、また聴きたいわ」
「あんなヘタな歌でよかったら、いつでも披露するよ」
謙遜してるが、まんざらでもなさそうである。


「はい。それじゃ移動するよ」


真純の言葉に皆が店の外に出る。
眞由美と愛美は洗い物や掃除を済ませてから2次会に合流とゆうのがいつものパターンであった。


敏広や他の参加者達と一通りの挨拶を交わして雄一郎は眞由美が呼んでくれたタクシーに乗り込み遥子達は川崎駅へ歩いて行った。
「楽しかった。今日も誘ってくれてありがとう」
「そういえば麻理子と一緒に飲みに行くのって初めてだよね」
「そうだね。私はお酒、飲んでないけど」
「退屈しなかった?」
「全然!みんな楽しくていい人ばかりだし」
「今度はワン・ナイト・ショーも行ってみる?」
「うん!」
「でもワン・ナイト・ショーに行ったら間違い無く朝までコースになるよ」
「お休みの前の日だったら大丈夫!」
「じゃあ今度は二人で朝帰りだ」
「うん!楽しみ!」


《もう吹っ切れたかしら》


昔の頃の様な明るい笑顔に安心すると同時に、ここまでYAZAWAに、とゆうよりYAZAWAな集いに麻理子が馴染んでいる事に遥子はちょっと驚いていた。


つづく

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