ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆041

永悟が『戦う意思』を示した事によって愛美が言ってた通り学校内での永悟の周囲に変化が現れた。


先ず同じクラスの陸上部員が自分達から永悟とコミュニケーションを計る様になってきたのだ。
千晶以外に味方が居なかった永悟にとってこれは嬉しい出来事であった。
やがてその変化はクラス、学年全体にも広がり、始めの頃の味噌っ粕ぶりが嘘の様に永悟を受け入れる同級生が増えていった。


ただ以前よりは少なくなったものの、まだ例の4人組が永悟に絡んでくる事があったのだが、それも他の生徒達が何処何処に居たからそっちは避けた方がいいと情報を提供してくれたり、また、3年生の陸上部員達が睨みを利かせてくれていたので連中と殆ど関わらなくて済む様になっていた。


これも拳斗のアドバイスのお陰だと永悟は心底感謝し里香もこの変化を伝え聞いて安心した。


この頃になると永悟は母、里香と共に毎週土曜日にOpen Your Heartに行くのが習慣になっていた。


毎週そこで里香は眞由美や紹介してくれる常連客達と親睦を深め永悟は拳斗と会って、その後の経過を話したり、また拳斗の話を聞かせて貰ったりと充実した時間を過ごす事が出来るので永悟は毎週土曜日の夜をある意味では里香以上に楽しみにしていた。
もしかしたら拳斗に理想の父親像を重ねているのかもしれない。


そして永悟にはもう一つOYHに行く楽しみがあった。


ある土曜日の朝の登校中


「機嫌がいいね」と千晶。
「え?」
「何か、いつも土曜日は機嫌が良く見える」
「そうか?」
「普段と全然違うもん」
「そうかなぁ?」
「今日も行くの?」
「何処へ?」
「川崎のお店」
「あぁ、うん」
「お酒飲む所なんか行って楽しいの?」
「いいだろ別に」
「悪いなんて言ってないよ」


少し沈黙が流れる。


「女の人もいるの?」
「へっ?」

思わず永悟の声が裏返る。

「いるんだ!」
「そ、そりゃ母さんの友達の店なんだから」
「何、慌ててるのよ」
「べ、別に慌ててなんかないよ!」


疚しい事など何も無いのだが何故か永悟はこの件に関してお茶を濁そうとした。


また沈黙が流れる。


「私も行く!」
「はい?」
「私もその川崎のお店に一緒に行く!」
「な、何勝手な事、言ってるんだよ!」
「いいじゃん、お店なんだから。行けば誰だってお客さんでしょ!」


正論である。


「・・・って中学生がお酒飲む所に行ってどうすんだよ!?」
「何よ!自分だって中学生じゃない!」
「う・・・」


反論出来ない。


「だ、だって俺は保護者同伴だから・・・」
「だったら私だって同じじゃない!永悟のお母さんは私の叔母さんなんだから!」
「・・・・・・」


返す言葉も無い。


「ってゆうか千晶、今日は塾だろ?」
「そんなの休むからいいもん!絶対付いていくからね!!」


言い出したら絶対に引かないのが千晶の性格であった。


帰宅後、永悟は事の経緯を里香に説明。
困った里香は眞由美に事情説明のメールを送ると直ぐに歓迎の返信が来た。


つづく

コメント

  1. ぺこちゃん より:

    ハラハラの場面でブログがお休みに成ったので、これからどう展開するのかexclamation&question
    とドキドキでしたあせあせ(飛び散る汗)
    とっても胸がす~っとする展開でこれからがますます楽しみですウィンク手(チョキ)

  2. AKIRA より:

    ぺこちゃん♪^^毎度です
    >とっても胸がす~っとする展開で~
    どうですかねぇ~今後はドロドロの展開になるかもしれませんが
    まぁお楽しみって事でヨロシクです

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