その日、神園母子と従姉弟の千晶は7時15分位に眞由美の店に訪れた。
因みに『約束の土曜日』以降は、すべて通常営業である。
ドアを開けると♪世話がやけるぜ、が聴こえてきた。
「いらっしゃ~い」と眞由美。
「こんばんは。すみません何かこんな事になっちゃって・・・」
「謝る事無いわ。仲間の家族は私達にとっても大切なゲストだから」
仲間とゆうキーワードに弱い里香は、またも感激して表情が明るくなる。
「それから永悟君ごめんね。私の相方、今日は仕事の都合で来れないらしいの」
「あ、そうなんですか」ちょっと残念そうな永悟。
「で、あなたが従姉弟さんね」
「神園千晶です。今日は急にお邪魔してすみません」
それなりに礼儀はわきまえてる様である。
「大歓迎よ。楽しんでいってね」
「神園さん、こんばんは~」
既に3人の男の常連客が来店しており、その中の一人が声を掛けてきた。
「あ~、こんばんは~」
皆、既にここで眞由美に紹介して貰った者達である。
「今日も彼氏同伴かい?」
「もう止めてくださいよ~」と言いつつ嬉しそうな里香。
彼氏扱いされてる永悟からすれば正直あんまり嬉しくない。
里香はその場で立ったまま3人と会話を続け永悟はカウンター席に向かった。
千晶も永悟の後を追う。
「いらっしゃい」とカウンターの愛美。
今日も優しい笑顔を見せてくれる。
「こんばんは」
「わぁ~、焼けたねぇ!」
「そ、そうですか?」
「うん。先週よりもいい色に焼けてるよ」
5月の日差しは意外に馬鹿にならない。
「僕、一年中日焼けしてるからあんまり自覚が無くて」
「陸上部だもんね。でも毎日練習頑張ってるんだね。偉いぞ」
「あ、ありがとうございます」
本当に嬉しそうな永悟。
《そっかぁ。この人目当てなんだ》
永悟の横で千晶は露骨に面白くない表情を露にしていた。
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