10メートルは離れていた場所から一瞬の間に正一の顎、目掛けて飛んだ眞由美。
会心の一撃であった。
喰らった正一は吹っ飛んで、そのまま後ろのベンツに倒れ込み直撃した後頭部がフロントガラスを粉々に砕き反動でボンネットを転がって地面に崩れ落ちた。
「ひぃ~~~~~っ!しょ、正一ぃ~~~!!」
「あぁ~、あんちゃぁ~~~~~ん!!」
パニックに陥る正二と正三。
「あ~ぁあっ」
「地雷、踏んじまったな」
真純と拳斗が自業自得だと言いたげに、ため息を付く。
目前の光景に永悟達は唖然とし、ちょっとの事では動じない遥子も驚いていた。
「歳の話とメドゥーサは眞由美には禁句だ」と拳斗が遥子に耳打ちする。
そういえば昨年のバースデー・パーティーでも「私は永遠のレディ・セブンティーン」と眞由美が言ってたのを思い出した。
肝に銘じておくと言う風に遥子は数度、頷いた。
また里香も永悟や遥子以上に驚きを隠せないでいた。
「ま、眞由美さんが、あのハマのメドゥーサ………」
そして眞由美は手下どもをキッと睨んだ。
「ひっ!!」
正にメドゥーサの様なその眼力に凍りつく男集。
「死にたい奴は前へ出な!死にたくなけりゃとっとと失せな!!」
その言葉に戦闘員どもは持っていた武器を投げ出して車を置いたまま一目散に土手の方へと逃げ出した。
「あぁ~っ待てコラッ!!」
叫ぶ正三。だが従う者は誰も居ない。
取り残された正二と正三を囲む様に集まる眞由美と、その仲間達。
「勝負あったわね。それとも玉砕覚悟でまだ続ける?」
「い・・・いや、どうかご勘弁を!」と正二。
「お前はいいわ。でもそいつだけはやっぱり許せないわね」
「ひぃ~~」
「私等に喧嘩売っただけで無く私の大切な仲間をレイプしようとした、その落とし前は着けて貰わないとね」
「なっ!!」
「何ですって!?」
眞由美の言葉に驚く仲間と真純。
ここに居る総ての者達の殺意の籠もった怒りの表情が正三に向けられる。
すると
「こりゃあ!何て事してくれたんじゃあ!!」
突然、正二が正三を殴り付けた。
「ぎゃぁ~~~!!」
頭を抱えて亀になる正三。そこに容赦無く蹴りを入れまくる正二。
「ひいぃ!ごめんよぉ!あんちゃ~ん!!」
「そんなんだからお前はいつまで経っても素人童貞なんじゃあ!!」
「ひいぃぃぃぃぃ!!」
聞きたくも無い事実を聞かされ閉口する眞由美達。
体力の限界が来て正二は蹴るのを止めると息切れしながら土下座をし始めた。
「すみませんでしたぁ!仰る通り、おとしまえ着けさせて頂きます!どうかコイツを煮るなり焼くなり!!」
「あ、あんちゃ~ん!そんなぁ!!」
「やかましい!!な、何ならコイツの指でどうか!」
正三の腕を掴んで前に差し出す。
「ヒィ!!」
「要らないわよ。そんな物」
その時
「眞由美さん」
千晶が口を開いた。
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