ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆091

「結局の所、麻理子ちゃんて、どんな男がタイプなの?」
在る日の川崎Open Your Heartにて敏広が遥子に問う。
「真面目な人って事は間違いないわね。それと意外に面食い」
「一応、合格点じゃないか?」と賢治。
「あぁ、それと、あの子きっと声フェチね」
「それも充分合格だな」
「なら何も問題無し、じゃないか?」
「ただ麻理子は自分から告白する様な子じゃないから、そこは裕司君に言って貰わないとね」
「……………大問題じゃねぇかよ」


裕司はいわゆる草食系の典型であった。


過去の恋愛も女性の方から裕司にアプローチしてから発展とゆう形で、しかも裕司は余り女性にも恋愛にも執着しないタイプで、いつの間にかフラれてるとゆうパターンばかりであった。
更に裕司はフラれても落ち込む様な事が無く、故に今回の様な恋煩いは古い付き合いの敏広と賢治には少なからず驚きであった。


「こりゃ…裕司もこの場に呼んだ方がいいかもな」


1週間後、再び眞由美の店で会合を開く遥子達。
そこに帰国した拳斗も面白そうだと加わり裕司の恋のプランは矢沢仲間達に勝手に決められてしまうのであった。


「初デートの定番って言えば…」
「映画、遊園地、ドライブ、それと動物園とか?」
「その中で麻理子ちゃんが好きそうなのって…」
「麻理子はディズニーランドが大好きだけど」
「ならディズニーでいいんじゃないか?」
「んん~、でもねぇ……」
言ってみたものの遥子の中で二人の初デートでディズニー・ランドは何故かブレーキが掛かるのだった。
遥子の知る限りでは麻理子はTDLにはデートで行くよりも自分や友達同士と一緒に行く事を好む様なのだ。
高校の頃も「遥子と行くのが一番楽しい」と言っていたし実際、過去の彼氏とも行っていないらしい。


色んな考えが交錯する中、遥子の頭に一つの案が閃いた。
「DM!」
「えっ?」
「DMだったら自然じゃない?」
「いいねぇ!DMなら、お前も案内出来るだろ!」
「う、うん」
ここでやっと裕司が口を開く。
麻理子は赤坂の矢沢永吉イメージスペース『DIAMOND MOON』には、まだ一度も足を運んだ事が無かった。
遥子もいつかは連れて行きたいと思っていたのだが中々機会に恵まれないでいたのだ。
「場所は決まり!それじゃ日程だな」
「麻理子は基本、土日が休み」
「裕司、お前は休みは結構自由が利くんだろ?」
「う、うん」
協議の結果、日程は翌月、10月の第1日曜日に決定した。
「それじゃ後はお前が麻理子ちゃんを誘えば完了だ!」
「…………」
「どうしたよ?」
「でも……」
「ん?」
「でも断られたら…」
「・・・お前、何言ってるんだよ!」と呆れ顔の敏広。
他の皆も裕司のあまりのヘタレぶりに脱力していた。
「お前、永ちゃんのハマスタの時は思い切り良く行ってたじゃんかよ!同じ様に当たって砕けろよ!!」
「…………」
「しょうがないわね」と遥子。
「あんまりこうゆう作為的な事はしたくないんだけど」
と言いながら携帯を開きメールを作成、送信する。
10分後その返信が来た。
「オッケー!麻理子、10月の第1日曜日、空いてるわ」
「どうゆう事?」
遥子はその日に麻理子に一緒にDMへ行こうとメールを送り返事はOKであった。
「2日前に私は急用が出来た事にするわ。そこに裕司君が誘えばいいんじゃない?」
「遥子ちゃん結構策士だねぇ」
「でも………」
「今度は何だよ?」
「でもそれで断られたら…」
「その時は麻理子にはその気が無いって事ね」
「そうだな」
「でもその方がお前も諦め着くだろ」
「男だろ。腹括れ」
残酷な様だが、これ位の事でビビッていたら恋愛は出来ない。
そもそも普通は廻りがここまでお膳立てしてくれたりはしない。
裕司は有難い反面、自身の気持ちを弄ばれてる様で複雑な気分であった。

つづく

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました