ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆226

《きゃあ~~~~~~~~~っ💕》

柱の影に隠れながら麻理子は敏広と美由紀のキス・シーンを赤面しながらもガン観していた。

《さっすが敏広!》
《うんうん!!》

裕司の呟きに賢治と加奈子も大きく頷く。

《仲良き事は美しき哉》

清純も一緒になって、その光景を眺めていた。


硬直していた美由紀の身体から力が抜け、そのまま敏広に身を任せだす。
互いの唇を求めるかの様に熱い口づけを交わす二人。

どれ位の時間が流れただろうか。
否、この時ばかりは二人の廻りだけは時間が止まっているかの様であった。

(という訳でBGMは♪時間よ止まれ《サブⅡヴァージョン》)

やがて自然と離れ熱い眼差しで見詰める敏広と頬を赤く染め俯く美由紀。

「………強引だ」
「嫌か?」

敏広の問いに小さく首を振る。

「………舌………入れてきた」
「自分だって絡めてきただろ」
「もう一々言うなっ!」
「言ってるのはお前の方だろ!」

喧嘩する程、仲が良いとは今の二人の為に有る様な言葉であった。

「とにかく、これが俺からの答えだ。いいか?」
「………うん」恥らいながらも嬉しそうに頷く。

そのまま敏広は美由紀の肩を抱いて歩きだす。

それを見て覗き隊は柱の影からそそくさとロビーのソファへと移動。
座ると清純はエア・ドラムを展開。
それに合わせて他のメンバーもエア演奏を始め麻理子も昭和のアイドルの様にリズムに乗る。

そこに敏広達二人が現れた。

「おう!遅かったな!話は終わったか?」
「覗いてたの知ってるぞ」
「何の事かな?」
「まあいい。紹介しよう。鮫島美由紀。近日、俺はこの女と結婚する」
「エェーーーーーーーッ?!!」

突然の結婚宣言に本気で驚くメンバー。当然、美由紀は、それ以上に驚く。
「ちょ、ちょっと幾らなんでも結婚なんて!」
「何だよ嫌なのか?」
「……………嫌じゃない」
「お前が結婚ねぇ」

女好きの敏広であったが意外にも女性の方から告白されるのは幼稚園時代を除いては、これが人生初であった。
良く言えば女性に対して積極的。悪く言えば手が早い故なのだが一方で妙なこだわりも持っており実は女子の方から告白されて不満が無ければその相手と結婚しようと十代の頃から決めていたのだった。

故に敏広は遥子に対して本気であった為に敢えて想いを告げなかったのだ。残念な結果となったが。

そこに

「ちょっとちょっと!こんな所に居たのぉ!」


会場関係者からYASHIMAのメンバーが控え室に戻ってこないと連絡を受けた真純が駆け寄ってきた。

つづく

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