ネット小説 web小説【人権剥奪】015

【少年A】は野々山の娘、絵美里の私物を使っての自慰行為を密かな楽しみとしていた。

その日も、いつもの様に絵美里の下着で自身の性器を包んでは淫らな快楽に耽っていた。

思えば、この様な性癖になってしまったのも、きっかけは例の事件、【女子大生強姦殺人事件】の被害者【A子】が原因なのかもしれない。

ただ、この【A子】との関わりという点では、寧ろ【少年A】の方が被害者であった。

「白状しなさいよ!アンタが犯人なんでしょ!」

その昔、近所で下着泥棒が出没していた時、被害に遭った【A子】に面と向かって疑われ、当時、中学生だった【少年A】は萎縮してしまい何の反論も出来なかった。

だが、数日後に真犯人が捕まり、因みに犯人は当時、地域に引っ越してきたばかりの40代の主婦で、インターネットを利用した転売目的が犯行の動機という奇妙な事件として話題になった。

これにより【少年A】の疑いは晴れたが、日頃から評判の悪かった【A子】は多くのご近所さんから「あの子(少年A)に謝れよ!」と非難されるも謝罪の言葉が出る事は無く、却って、この一件で【A子】は【少年A】を逆恨みする様になったのだ。

更に数日後、【少年A】が帰宅すると二階、自室のバルコニーに一つの紙袋が放置されていた。

不思議に思いながらも気になったので中身を確認してみる。

「!」

それは女性用の下着であった。

それも、かなり派手な色とデザインで、普段の生活で目にする母親が使用している物とは全然違うセクシーな代物。

「何でこんな物が?」

理解に苦しむも、綺麗なお姉さんが身に付けたら、とても似合うであろうとイメージさせる、そのアイテムは思春期の少年から理性を奪うには充分であった。

堪らず手淫を始める【少年A】

始めて手にするランジェリーの感触と、仄かに香る大人の女性の匂いが益々、自身を狂わせる。

そして、いつもより遥かに早いペースで絶頂を迎えようとした、その時

ガラッ!

突然、バルコニーのガラス扉が開いた。そして

カシャッ!カシャッ!カシャッ!カシャッ!

人工的なシャッター音が鳴り響く。

「やっぱりアンタが下着ドロだったんじゃない!」

デジカメを持った【A子】が、そこに現れた。

茫然とする【少年A】

尚もシャッターを押し続ける【A子】土足のまま部屋に入ってくる。

この時の【少年A】は正に俗に言う【蛇に睨まれた蛙】であった。

誰もが決して人に見られたくないシチュエーション。しかも、それが天敵とも思える様な存在に写真まで撮られている現実に、ただただ泣きたくなる。

「何て事してくれるのよ。私の下着で、そんな汚らわしい!」

口では怒りを露わにしているが目は笑っている。

この時、【少年A】は、やっと自分が罠にハメられた事を悟った。

全ては【A子】に仕組まれた事。だが、こんな恥ずかしい姿を画像として記録に残されてしまった。

もし、これが親や学校に知られてしまったら?

下着泥棒は濡れ衣でも、人の下着を使用しながら事に及んでいたのは事実。

死刑宣告でも受けたかの様に絶望の表情で固まる【少年A】いっそ、このまま二階から身投げでもしてしまおうかなんて思ったりもした。

そんな【少年A】に勝ち誇った様な微笑を浮かべ近づく【A子】

しゃがんで、俯く【少年A】に顔を近づけると【A子】は思わぬ事を口に出した。

「アンタさぁ、結構、羽振りがイイらしいじゃない」

パソコン・オタクの【少年A】が、趣味が高じて中学生ながらアプリの開発等で利益を出してる事は近所では知られた話であった。

【A子】がデジカメを裏返し液晶画面を見せる。

「1枚につき1万で、どう?」

つまりは恐喝である。

当初【A子】は自分の下着を利用して【少年A】を下着ドロに仕立て上げ自分が間違っていない事を証明(?)する、正確にはでっち上げるつもりでいた。

所が【少年A】の懐具合が暖かい事を知り方針を転換。強請(ゆす)る方が得だと判断したのだ。

最早、【少年A】に選択肢は無かった。それに1枚、Ⅰ万円なら払えない金額では無い。

だが卑劣な事に【A子】はネタである画像を、その日の内に大量にコピーしたのだった。

【少年A】が支払う金額分の画像の削除には応じていた。だが元の画像データが残っている限り【A子】のサジ加減でネタは無限に増やす事が出来る。

「データ全部、消して欲しいなら1千万、用意しなよ」

「そ、そんな大金…」

「出来ないなら今迄通り、チビチビと払い続けな!」

再び絶望感に落ち込む【少年A】何とか、この地獄の無限ループから逃れる方法は無い物か?

得意のパソコンで稼いで言われた金額を払うしか無いのだろうか?しかし金を用意出来たとしても【A子】が約束を守るとは到底、思えない。

ならばネタその物を完全に消去するしか無い。だけど、どうやって?

考えに考えた末【少年A】は確実に消去出来るであろう方法を選択した。

つづく

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