ネット小説 web小説【人権剥奪】016

【A子】は【少年A】の自宅近くの実家とは別に駅前の高級賃貸マンションを親に借りて貰っており主な生活拠点はそちらの方であった。

ある週末の午後【A子】が出掛けたのを確認すると【少年A】は、そのマンションに侵入。

玄関、エレベーター、そして部屋の扉、全てカードキーによる認証が必要であったが、ITに精通している【少年A】は、その知識を悪用して、いとも簡単に、それ等を突破。

【A子】の部屋へと入室に難なく成功する。

【少年A】の目的、それは【A子】のパソコン内に有る強請(ゆす)りのネタの完全削除。

【A子】は人並みにパソコン等を使用しているが特に詳しい訳では無い様だ。

ノート・パソコンの電源を入れると最初のパスワード入力も簡単に突破。各データにロックを掛けてる様な事は無く全て見放題であった。

このまま【A子】の個人情報その他、全てのデータをコピーして報復する事も考えたが今やるべき事は自身の【弱み】を無くす事。

思ったより容易に、そのフォルダを見付ける事が出来、中身を確認。

直接、撮られた画像は十数枚程度であったが、コピーされた数は、ザッと見ただけでも500以上。

怒りが込み上げてくるも、それを押し殺し他のフォルダにもコピーされていないか調べてみる。だがその時

ガチャッ!

玄関の扉が開く音が聞こえた。

「!」

驚愕する【少年A】慌てながら隠れる所は無いか探す。

ノートパソコンを閉じ、デスクの下へと隠れる。

誰かが部屋に入ってきた。【A子】であろうが隠れている為、確認する事が出来ない。

もし、このまま見付かってしまったら?と不安が過り身体が震える程、心臓の鼓動が早くなっていく。

所が、その気配が、程無く玄関の方へと向かっていくのが足音で感じられた。

扉が開き、閉まる音がハッキリと聞こえる。

忘れ物でも取りに戻ったのだろうか?そんな事を考えながらも【少年A】は本来の目的を果たそうとデスクの下から立ち上がり【A子】のノートパソコンを開いた。

全ての画像データを確認してみたが、どうやら他には見当たらない。ならば最初に見つけたフォルダを、丸ごと削除すれば目的は達成出来る。

本来ならディスク自体を破壊しなければデータ復旧は物理的に可能なのだが【A子】に、その様な知識は無いであろう。

ホッとした気持ちでデータを削除しようとする【少年A】だがその時、急に背後が気になり振り返った。

「!」

何と、その時、【A子】が【少年A】の頭をめがけて手に持った何かを振り下ろそうとしていた。

「わぁっ!」

咄嗟に避ける【少年A】

【A子】が振り下ろした空のワイン・ボトルがデスクの角に直撃し粉々に砕ける。

「いったぁ!」

その衝撃が手に伝わり痛みで顔を顰め、思わず割れたボトルから手を放す【A子】

「何やってのよっ!」

【少年A】を睨みつける。

先程、忘れ物を取りに戻った【A子】は玄関に見慣れぬ男物のスニーカーが有る事に少なからず驚いた。

部屋に入ると誰の影も無い。だが自分の部屋に侵入者が居る事は確実。

声を上げたり自分で探すよりは油断させて出てくるのを待った方が良いと思い玄関へと向かいドアを開け外出したフリをする。

そっと息を潜め不審者が自ら行動を開始したのを見て、捨てるつもりで玄関に放置してあった空のワインボトルを手に取り背後から襲おうとしたが失敗。

パソコン画面に視線を移す【A子】

【少年A】が何をしようとしていたのか、おおよその検討が着いた。

「いい度胸してるねぇアンタ」

いつもの人を見下す様な笑顔。

「アンタ、そんなに私に貢ぎたいんだぁ!こんな人の部屋に忍び込んで勝手にパソコン開く様な真似してさぁ!アンタのやってる事って犯罪だよ!犯罪!」

自分の事を棚に上げて、よく言う。強請(ゆす)りだって立派な犯罪だ。

「どうやって落とし前、着けるつもりなのぉ?もう1枚1万じゃ全然、足りないよぉ!それから、そうねぇ~先ずは警察に突き出されたく無かったら百万!1週間、待ってあげるから百万、用意しなよ!それ位の貯金、有るんでしょう?」

何処まで強欲な女なのだろうか。だが

「…突き出しなよ」

「ええっ!?」

【少年A】の思わぬ返答に【A子】の顔から不敵な微笑が消えた。

「警察、呼べばいいじゃないか。呼びなよ」

「何、強がってるのよ?それとも開き直りぃ?」

「だけど僕が捕まれば、もうアンタは僕からお金を取る事が出来なくなるんだよ」

「!」

【A子】の表情から余裕が消える。

「それに僕を警察に突き出せば取り調べで動機とかも色々と聞かれる。そうなったら僕はアンタが写真をネタに僕を脅してお金を取っていた事も全部警察に話してやる!そうなったらアンタだって、ただじゃ済まないよ!」

「…………」

今度は表情その物が消えて無くなる。

「さぁ呼びなよ!呼べよ!!」

珍しく【A子】を睨みつける【少年A】すると

バチーーーン!

突然【A子】が平手を見舞った。

「ナメんじゃないわよ!このエロガキィ!!」

再び平手を浴びせられる。

尚も執拗に暴力に訴える【A子】これに対し【少年A】が反撃に出る。

「うぐっ!」

両手で【A子】の喉元を掴む【少年A】中学生でも成人女性より腕力は上である。

「く…苦……」

頸動脈を圧迫すれば人は意外な程、簡単に意識が遠退いてしまう事を【少年A】は豆知識ながら知っていた。

白目をむき顔色が紫色になってゆく【A子】

やがて失神すると崩れる様に、その場に倒れ込んでしまった。

ドサッ

横たわる【A子】をジッと見据える【少年A】

打たれた痛みに怒りが込み上げ、思い切り顔を踏みつけてやろうと思ったが思い留まる。

【A子】は人間性は最悪だが外見だけは、かなりの美女であった。

そんな女が無防備な姿を自分の前で曝け出している。

【少年A】は積年の恨みを晴らすかの様に【A子】に馬乗りになり乱暴に服を引き裂いた。

つづく

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