ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆047

神園家が住むマンションの最寄の駅である京急線、雑色駅に着いた所で永悟の携帯が震えた。


「何だよもう・・・」
届いたメールを読んで永悟は、ため息をついた。
「どうしたの?」と里香。
「千晶から」
「何て?」
「今から六郷土手に来いって」
「あら」
「野球場で待ってるって・・・何なんだよ一体・・・」
「行ってあげなさい」
「えぇ~!」
「迎えに行ってあげなさい。それに千晶ちゃん、お友達と一緒の筈だから何か大事なお話でもあるのかもよ」
「大事な話?」
「行けば判るんじゃない?」
「う~ん」
あまり気が進まない永悟。
「着いたら母さんに電話しなさい。タクシーで迎えに行ってあげるから。それで3人で会場に行きましょう」
「そうしてもらえると助かるよ」


二人は京急線に乗って里香は川崎駅まで、永悟は一つ手前の六郷土手駅で下車した。
《もしかして千晶ちゃんのお友達が永悟に気があるのかしら?それなら三角関係になっちゃうわね》
等とこの時の里香はそんな暢気な事を考えていた。


一方、薄暗い路地を歩きながら永悟は不可解に思っていた。
千晶からのメールが何だか普段と違うのだ。
いつもなら用件だけ書いて終わりとゆう女子とは思えない位に大雑把なのに今さっき届いたメールは綺麗に読み易く改行してあり文面も千晶にしては女の子っぽい。


考えている内に六郷土手に着いた。
土手を登って辺りを見回す。
千晶はおろか人っ子一人、見当たらない。
永悟は首からぶら下げてシャツの胸ポケットに入れてある携帯を取り出して千晶に電話を掛けた。

つづく

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