澄子が玄関を開けると裕司の後ろには麻理子や敏広、賢治、眞由美、拳斗、愛美、真純といつものメンバーが揃っていた。
「まぁ、いらっしゃい!」澄子の表情が明るくなる。
「どうぞお入りになって!」
「お邪魔します」
裕司とは馴染みある間柄だが後の者達と顔を合わせるのは雄一郎の葬儀以来。
リビングでは護が出迎えてくれ一通りの挨拶が済むと
「何だか今日は賑やかね」と、ご機嫌になる澄子。
キッチンで手際良くコーヒーの用意をして皆に振舞う。
「それで皆さん今日はどうしたのかしら?」
「えっ?だって今日は神崎さんの四十九日……」
裕司の言葉にハッとする澄子。慌ててカレンダーを見る。
「あら嫌だ私ったら!こんな大切な日を忘れていたなんて……」
ショックの余り本気で落ち込んでしまう。
「仕方ありません。あの連中のせいで気が休まる日も無かったんですから」と護。
実は護も雄一郎の49日の為に此処に訪れたのであった。
「えぇ。でも………」
「あの……何か事情がお有りで?」と拳斗。
「えぇ、ちょっと……」
澄子の代わりに護が答える。
その時
「ミャア!」
ミィが出窓から下りて近づいてきた。
「きゃあ!可愛いっ!!」
ミィを見て思わず歓喜の声を上げてしまう麻理子。
するとミィはトコトコと客人の前を横切るとソファに座った麻理子の膝の上にピョンと乗った。
「いや~ん!可愛いぃ♡」
麻理子の表情が益々デレデレになってしまう。
ミィは、そのまま麻理子の膝の上で丸くなり大人しく撫でられながらゴロゴロと喉を鳴らす。
「あらあら!ミィがお客様にこんな懐くなんて」
「動物の本能で麻理子ちゃんが優しいって判るのかしらねぇ」と真純。
ミィのお陰で今迄の何処か重苦しい空気が和やかな雰囲気へと転じてくれた。
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