ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆045

6月の第一土曜日。夕方5時過ぎ。


部活を終え帰宅した永悟が自宅マンションの鍵を開けようとした時に隣の部屋の扉が開いた。
「永悟お帰り!」と千晶が部屋から出てくる。
「あ、ただいま」
永悟は、その時の千晶の私服姿に目が止まった。
勿論、千晶の私服を見るのは初めてでは無いが普段、制服姿に慣れてしまってるせいか、その時の千晶には何処か華のある雰囲気を感じた。
「えへへ。どう?可愛いでしょ」
ラベンダー色のロゴと蝶の模様が入ったLIZ LISAのボートネックの白いTシャツ。黒のミニのシフォンスカートを身に纏った千晶が一回転し得意気にポーズを取る。
「・・・いいんじゃない?」
照れ隠しで素っ気無い反応を返しながら部屋に入る永悟。
「何よもう!」
ムスッとしながら追い駆ける様に永悟宅に入っていく。


「永悟ってホント女の子の気持ちが判らないよねぇ!」
「何だよそれ?」
「そんなんじゃ愛美さんに嫌われちゃうぞ!」
「な、何言ってるんだよ!」
キッチンで勝手にグラスを出して勝手に冷蔵庫を開け勝手にウーロン茶を飲みだす千晶。
毎度の事なので永悟は全く気にしないで自室に入っていった。


その時、里香が帰宅してきた。
「叔母さん、お帰り」
「あら千晶ちゃん、可愛いじゃない!」
「えへへ。ありがとう!」
「似合ってるわよ。今日はそれで行くの?」
「うん」
「それじゃ私も支度するから待ってて」


部屋に向かう里香と入れ替わりで永悟が上半身裸のまま自室から出てきた。
「ちょっと何か着てよ!」と声を荒げる千晶。
「これからシャワー浴びるんだよ!」
「脱衣所で脱いでよ!!」
「一々うるさいなぁ」と、ぼやきながら風呂場に向う。


「ごめんねぇ。あの子そうゆう事に気が廻らなくて」
部屋から出てきた里香が謝る。
「叔母さんのせいじゃないよ」
里香が洗濯物を取り込み、たたみ始めたので千晶も手伝う。
「あら、ありがとう」
そうゆう所には気が利く良い娘であった。
10分位経つとシャワーを浴び終えた永悟が黄色地フデロゴのビーチタオルを腰に巻いて出てきた。
「だから何か着てって言ってるでしょ!」
手にしてた洗濯物を永悟に投げつける千晶。投げられた洗濯物が見事に永悟の頭にバサッと掛かる。
「これから着るよ!」
投げつけられた洗濯物が自分のTシャツだったので永悟はそのまま袖を通し自分の部屋に戻って行った。


そんなやりとりを横で見ながら里香は笑いを堪えていた。
《仲良いわね。この二人》
従姉弟同士とゆう所が微妙だが里香はこの二人が付き合ったら良いカップルになるんじゃないかと微笑ましく思っていた。

つづく

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