里香が高校1年のある土曜日。
例の彼の影響で矢沢永吉に興味を持ち始めた頃に好奇心でウィスキー・コークを飲んでみた事があった。
その日は梅雨も明けてよく晴れた蒸し暑い日だった。
帰宅すると誰も居ないので偶々、冷蔵庫にあった1.5リットルのコーラに父親のウィスキーを拝借して自室で作ってみたのだ。
調度良い配分が判らないので一口飲んではウィスキーを、また一口飲んではコーラを注ぎ足すの繰り返しで、その内、次第に気分が良くなっていき、やがて記憶を無くしてしまった。
翌朝、激しい頭痛と吐き気で目を覚ますも日中は完全にダウン。
夕方になって、やっと何とか起き上がる事が出来、部屋を出るとリビングに居た兄が観せたい物があると言ってきた。
両親も居るリビングにて兄はビデオをセットして再生し始める。
そのビデオを観て里香の二日酔いは一瞬で吹き飛んだ。
画面に流れている映像が自身のストリップだったからだ。
真相はこうである。
前日の夕方、大学生の兄が帰宅すると里香は完全に出来上がっていた。
始めこそ驚いていたが、やがて酔っ払った妹を面白がりだしビデオカメラで撮影を始める。
レンズを向けられるのを気持ち良いと感じたのか里香は永ちゃんの曲を歌いながら訳の判らない踊りをし始め遂には服を一枚、また一枚と自ら脱ぎだした。
そして下着姿になった時点で突然バタンキュー。夕食も食べず、そのまま眠りに付いてしまった。
当然両親は激怒。こっぴどく叱られ兄には暫く、この事をネタにからかわれ里香はこのビデオが絶対に公けにされない事を切に願った。
幸いそのビデオは後にカビが生えてしまいコピーも存在しないので里香は胸を撫で下ろしたが以来、酒の怖さを思い知らされた事により大人になってからも始めの頃は薄いウーロンハイしか飲む事が出来なかった。
その話を聞いて涙を流しながら大笑いする眞由美。
「そ、そんなに笑わなくったって………」
「ご、ごめんね。だけど面白いわ…そっか。それが前に千晶ちゃんが言ってた話ねぇ」
「あの、この事はどうか……」
「大丈夫よ。墓場まで持っていくわ」
「何を墓場まで持っていくの?」
突然、真純が来店した。
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