カウンターに右手で頬杖を突いてジッと拳斗を見詰める眞由美。
<BGMは♪今・揺れる・おまえ>
視線はそのままに空になったロック・グラスに左手でバーボンを注ぐ。
拳斗がそのグラスを取ろうとすると眞由美は渡すまいとゆう風にグラスを取り上げ一口飲んだ。
「勤務中だろ。いいのか?」
「平日だもん。もう客も来ないわよ」
そう言うと眞由美は姿勢を上げ再びグラスを傾け一気に中身を空にした。
カウンターにグラスが置かれると氷のぶつかる音が響く。
眞由美はバーボンを口に含んだまま拳斗の顔を引き寄せ唇を重ねた。
そのまま両腕を拳斗の首に廻し、ゆっくりとバーボンを流し込む。
一滴残らず注ぐと眞由美はそのまま舌を絡めだす。
ねっとりと拳斗の唇に吸い付きながら眞由美はボトルとグラスを左手で乱暴に払い除けカウンターを乗り越え拳斗の膝の上に滑り落ちた。
「淋しかったんだからね」
「柄にも無い事を言うな」
「3ヶ月もほったらかしにされて、私、処女に戻っちゃったかもよ」
「蜘蛛の巣の間違いだろ?」
眞由美のボディ・ブローが拳斗の腹に放たれる。
だが鍛え抜かれた拳斗の腹筋は簡単に眞由美の拳を跳ね返した。
「それじゃ蜘蛛の巣払いをして貰おうかしらね」
拳斗のベルトに手を伸ばす眞由美。
「ここでか?」
「いいじゃない。久し振りに」
「なら戸締りをした方がいいんじゃないのか?」
「うふふ。それもそうね」
眞由美は拳斗の膝の上から降りて店仕舞いを始めた。
ドアをロックしてネオンのスイッチを切ると眞由美はゆっくりとTシャツを脱ぎ始めた。
脱いだTシャツを止まり木に無造作に置き拳斗の方に近づいてゆく。
背中に手を廻し黒いブラのホックを外す。
両手でストラップを握り左右の腕を抜くと隣の止まり木に再び無造作に置く。
40代とは思えない位に張りのあるCカップのバスト。
眞由美は拳斗の足元にしゃがむと拳斗の膝に手を添え強引に開いた。
ベルトとボタンを外しファスナーをゆっくりと下ろす。だがその時
「あっ!」声を上げる眞由美。
「どうした?始まったか?」
「馬鹿っ」
拳斗の太股辺りをコツンと叩く。
「裏の非常口も閉めてくるわ」
「用心深いな」
「最近、時々ネズミが、いきなり入ってくるのよ」
「ネズミ?」
「黒縁メガネの関西弁を喋るネズミがね」と悪戯っぽく笑う。
その頃、大阪のとある串カツ屋
「ヘェーーーークションッ!!」
「おや、洋助はん、風邪かいな?」
「いや、女がワシの噂をしとるんやろ」
「何処の女かいな?」と笑う店主。
「多分、川崎の女や」
「くしゅん!」
今度は眞由美が裏口前でクシャミをした。
第弐章 了 第参章に続きます。
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