ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆133

小学生に成ってからの遥子は色々な面で劇的に変わっていった。

先ず肉体的変化。

入学当初は学年でも一番低かった背がみるみる大きくなり3年に進級する頃には後ろから数えた方が早い位にまで成長。
それに伴い不健康だった肌も段々と血色が良くなり次第に色白になってゆき二人の姉に負けず劣らずの美少女に生まれ変わっていった。

《きっと天使が私に憑り付いていた悪魔を追い払ってくれたんだ!》

全く科学的根拠の無い発想だが少なくとも、この時の遥子は本気でそう信じ家族の皆も本当にそうなんじゃないかと思っていた。

肉体的に自信が付くと精神的にもゆとりが出来、性格も明るく積極的になり、この頃にはもういつも泣いてた『チビクロ』は影も形も無くなった。

また、その頃になると父親が精神修行と護身の為にと二人の姉に習わせていた合気道に自分から通いたいと言い出し中学生に成る頃には姉を凌駕する位にまで実力を付け学校では態度の悪い男子のグループを相手に大立ち回りを演じた事も有った。

全てにおいて自信が付いた遥子。そんな時も『天使』麻理子の事を忘れた事は無かった。

そして遂に再会の日がやってくる。

中学3年の三学期初頭。

志望校の武蔵丘女子高校に願書を提出しに訪れた際、先に来ていた他校の生徒のグループとすれ違った。
その中の一人が視界に入ると遥子は稲妻に打たれた様な感覚に見舞われた。

《間違い無い!天使だ!》

見間違える訳が無かった。他の者の事は忘れても麻理子の事だけは絶対に判る自信が有った。
暫し、そのグループの背中を目で追う遥子。

「槙村さん、どうしたの?」
「あ、ううん、何でもない!」

同級生に呼ばれ我に返る。

《そっかぁ。彼女も此処を受けるんだ!》

それだけで何だか胸が躍る。

所定の手続きを済ませ


「ねぇ、折角だから何処かでお茶して行こうよ」と同級生の一人。
「いいわね」
「うん、そうしよ」

皆が賛同する中

「ゴメン!私、急用が出来た!」
「えぇっ?」
「先、帰るねっ!」
「ちょ、ちょっと槙村さん!」

走り出す遥子。向った先は地元の神社であった。

殆ど人気の無い境内で財布の中から千円札を取り出す。
それを賽銭箱に入れようとする遥子。だがチョット躊躇してしまう。

この時代の中学生に千円は中々の大金。だが遥子は意を決して中へと押し込んだ。

鐘を鳴らして大きく拍手を打つ。

《神様、私は頑張って自分の力で合格します!だから……………だがら私の天使を合格させて下さい!!》

「お願いしますっ!!」

思わず口に出して叫んでしまい掃き掃除をしていた神主さんが驚いてビクッとしていた。

つづく

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