10月の第一土曜日。秋も深まり肌寒くなった頃に麻理子と遥子は横浜の中華街へと向かった。
午前11時近く。天気も良く観光客で賑わう中、蒸した中華まんと炒られた甘栗の香りがあちらこちらから漂う。
「いい匂い!お腹空いちゃうよねぇ!」
食べる事が大好きな麻理子はこれだけで上機嫌に成る。
「ねぇ折角中華街に来たんだから肉まん食べようよ!」と麻理子がセイロを積み上げたある店に向かう。
「ちょっとちょっと!今日の目的はドレスでしょっ!」
「そうだけど」
「今お腹が膨れたら試着に影響するわよ!」
「あぁ、そっか!」
「ほら、ドレス買うまでガマン!」
「くぅ~ん」
お預けを喰らった子犬の様にシュンとなる麻理子。
中華街にはチャイナ服を扱うお店が幾つか軒を連ねているが最も有名なのはやはり『チャイナハウス カモメ』であろう。
この時代、『カモメ』は数店舗、中華街内に点在していたのだが、扱っている商品に変わりが無いらしい事を遥子は真純から教えて貰っていた。
「いらっしゃいませ」
「わぁ!凄ーい!」
あまり広くない店内だが色鮮やかなチャイナドレスが壁一面に天井まで殆ど隙間無く飾られており、その豊富なデザインに圧倒される麻理子。遥子も目移りしてしまいながら中へと入ってゆく。
店の奥にまで入るとそこにはアオザイも展示されていた。
「アオザイもいいよねぇ!」
「うん。チャイナドレスとはまた違った魅力があるよね」
だが今日の目的は永ちゃんのライヴに来ていく為の衣装選び。
「よかったら試着だけでもしていって下さいね」
店員さんの言葉に甘えて二人は存分に試着してみる事にした。
「それじゃ、アレとアレ。それとコレもお願いします」
「私はアレとアレ!あぁ後コレとソレとソレもお願いしまぁす!」
並んで試着室に入る二人。
実際に着てみると遥子が懸念していた事がハッキリと表れてしまった。
他の部分は全く問題ないのだが胸だけがブカブカなのだ。
「ハァ………」
予想していた事とはいえ実際に確認してしまうと溜息が出てくる。
遥子の唯一と言ってもいいコンプレックス。それはバストであった。
普段からBカップのブラを着けているが本当はバリバリのA。
その時
「あ~ん、すみませ~ん!」
隣の試着室の麻理子の声が聞こえてきた。
「どうされました?」
「ファスナーが上がらなくってぇ!」
「ちょっと失礼しますね」と店員さんがカーテンを開ける。
同時に遥子も自分の試着室のカーテンを開けて隣を覗き込んでみる。
「これ、お胸が原因ですね」
麻理子は高校時代から胸が大きい方であったが現在は確かDカップ。しかもまだ成長している様なのだ。
「羨ましい………」
遥子は一度でいいから麻理子の様に胸がキツくて服が入らないなんて気分を味わってみたかった。
コメント
《カモメ》懐かしいです
やはり永ちゃんのライブの為に、何度か伺いましたが、本当に色とりどりのチャイナが、飾られて目移りしますよね(。≧∇≦。)
(今は全部タンスの肥やしになってますが^ロ^;)
二人はどんなチャイナを選んだのかしら
ぺこちゃん♪^^毎度です
カモメに関しては前にぺこちゃんから聞いた話を参考にさせて貰いました
>二人はどんな~
次回、分かりますんでまたヨロシクです
ここは、ぺこちゃんがモデルだと信じてますが・・・・(^_-)-☆
>ファスナーが上がらなくってぇ!」
「ちょっと失礼しますね」と店員さんがカーテンを開ける。
同時に遥子も自分の試着室のカーテンを開けて隣を覗き込んでみる。
「これ、お胸が原因ですね」
今日このYOKOの章を読み直しています。
かもめで、昔は私もいくつか買いました。
「羨ましい・・・・・」
akkoさん♪^^毎度です
モデルと言いましょうか確かに、そこはぺこ吉殿から聞いた話を参考にさせて頂きました
リピートして楽しんで頂き有難うございます
カモメさんは、かなり評判が宜しい様ですね
ただメンズ・チャイナはYAZAWAの雰囲気と違うので自分がお世話に成る事は無いでしょうが(笑)