ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆186

「あ…こんばんは」
「澄子さん!!」思わず立ち上がる裕司。
「あぁ良かった!このお店で間違い無いのね!」
「ようこそいらっしゃいませ!」

真純と、さっきまで沈んでいた眞由美が笑顔で駆け寄る。

裕司や麻理子、里香達が居るテーブルのソファに促され

「遅くなってごめんなさい。道に迷っちゃって」
「とんでもない!でも居らして頂けるなら言って下さればお迎えにあがりましたのに」
「何だよ情事さん!俺と全然扱いが違うじゃないか!」と隣のテーブルのギブが憮然とする。
「当たり前でしょ。呼んでないアンタと違ってこちらは私がお誘いしたんだから」

真純は今回の新年会に澄子を招待していたのだが正直、出席して貰えるとは思っていなかった。

「永悟君と千晶ちゃんは初めてよね?こちら、神崎さんの奥様よ」
「あぁっ!初めまして!」立ち上がってお辞儀をする永悟。
「わぁ~!綺麗なひとぉ!」
「いらっしゃいませ。お久しぶりです」

カウンターから出てきた愛美がコースターとオシボリを澄子の前に置く。

「まぁ久しぶり!」
「お飲み物は何になさいますか?」
「あっ、ええっと……」ちょっと返答に困る澄子。
「御免なさい。私、こうゆう所に慣れてなくて……」

すると

「プッシー・キャット美味しいですよ!」と真横に座る千晶が自分のグラスを持ち上げる。
「あ、それじゃ私もこの娘と同じ物を」
「畏まりました」
「愛美さん私も御代わり!」
「りょーかーい」愛美が笑いながら空いたビール瓶を回収してカウンターに戻ると
「初めまして!神園千晶です」
「初めまして。随分お若いのね!」
「高校生ですから」
「貴女も矢沢さんのファン?」
「そうでも無いんですけど私このお店や愛美さん達が好きなんです」
「そう」
「良く言うよ!いつも俺よりデカイ声張り上げて永ちゃんコールしてるじゃないか!」
「アレは永悟や廻りに合わせてるだけよ!」
「合わせてるだけであんな意気揚々とタオル投げるのかよ?」
「うるさいなぁ!そんなの私の勝手でしょっ!」
「何だよ!」
「ちょっと止めなさい!」

里香が叱るも口喧嘩を続ける二人。だがその光景は何とも微笑ましい。

「犬も喰わない何とやらねぇ~!」

愛美がプッシー・キャットを三つとコーラの入ったグラスをトレイに乗せて戻ってきた。そこで澄子が

「お二人はお付き合いしてらっしゃるの?」
「お母様公認のカップルですよ」と愛美が返答。

その母、里香は無言で笑っている。すると

「ち、違います違います!ただの従姉弟です!誰がこんな奴とっ!!」

見事なハーモニーを奏でる千晶と永悟。

「ちょっと奴とは何よ奴とは!」
「自分だって言ったろ!」
「何よ永悟のくせに!」
「千晶こそ……」
「ハイハイ夫婦喧嘩は、その辺にして!」

グラスを各自の前に置く愛美。

「だから違いますっ!!」またハモる二人。

愛美は自分のプッシー・キャットをテーブルに置くとそのまま丸椅子に座る。

そして改めて真純が澄子を皆に紹介して本日二度目の乾杯となった。

つづく

コメント

  1. yukio_egawa より:

    はじめまして!第一話よりほとんど一気に読ませていただきました。途中何度か泣かされました。あらためて歌のチカラというか・・・挿入歌も効きますね。毎回裏切らない展開に勝手に酔っています。これからも続けられるまで続けて下さいませ。

  2. AKIRA より:

    yukio_egawaさん♪^^
    初めまして&一気読み誠に有難うございます
    以前ある方から頂いたコメントにも申したのですが読んで下さる方の心に少しでも触れる事が出来たなら書き手としてこんなに嬉しい事は有りません。
    一方で時々お馬鹿な展開に成る事も有りますがどうか御容赦願います
    この第伍章が最後ですがもう暫く続く予定なので良かったらまた遊びに来て下さいませ

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