ネット小説☆女達のトラベリン・バス☆240

宴が始まって1時間以上経過した頃、ライヴ会場近くのファミレスで本日、頑張ってくれた部員達を労う為にプチ打ち上げを開き、全部員を無事に帰宅させた琴音が合流。

「お待たせしましたぁ!」
「お疲れ様~!」
「お疲れ様でした!今日は最高な一日でした!!」
「コットン凄い弾けてたよねぇ!」
「もう止めてよぉ!」
「吉岡さんも呆気にとられてたもんな!」

その時

「あぁ!ステージでオッパイ見せてた人だぁ!!」

千晶の無遠慮な言葉に琴音が唖然赤面。笑いが起こる。

「さっきファミレスで生徒達からも揶揄われました」と苦笑する琴音。

ここで千晶を始めYASHIMAの面々以外とは殆ど面識の無い琴音を真純が改めて紹介。

加奈子達が座っているテーブルに着席すると

「あっそうそう!!そのファミレスで偶然、志穂達と逢ってマナカナに宜しくって!それから今度こういうライヴやる時は私達も誘ってよぉって皆から言われちゃったわ!」
「いいわねぇ!志穂達が手伝ってくれたら、もっと大掛かりなライヴ出来るかも!」
「クラッシックみたいにか?」
「YASHIMA feat 桐朋音大ってねぇ」

企画段階にも入っていない今後の予定に盛り上がる。

「さて、全員揃った事だし改めて乾杯しましょう。と、その前に」

此処で宴はライヴの打ち上げから澄子のバースデー・パーティーへと移行。
ハッピー・バースデーの大合唱。ロウソクの吹き消し。ドンペリで乾杯。澄子へのプレゼント贈呈といった一通りのセレモニーを経てカットされたケーキが各自に渡ると豊が改めて琴音に挨拶をしてきた。

お互いが教員としてサギ高に関わりが有るとゆう共通点のお陰なのか二人は初対面とは思えない位に意気投合。
サギ高今昔物語。教員という職業、また軽音部と吹奏楽部の顧問を経験した者だけが解る苦労話。そこに敏広達が乱入して豊とYASHIMAの当時の恥ずかしい失敗談の暴露合戦で異様にヒートアップしていたのだが話が一段落した所で琴音が唐突に

「あっ、それから裕司さん、本番前は本当にありがとうございました!」
「えっ?」
「あの時、華音ちゃん、広瀬さんを裕司さんが優しく励ましてくれたお陰であの娘も顧問の私も本当に救われました」
「あ、あぁ、とんでもない」

そこで敏広が

「あーっそうそう!麻理子ちゃん、コイツ浮気者だよ!!」
「何でそうなるんだよ!?」

敏広と賢治が第2部開演前のステージ袖での出来事を色々と尾ヒレを付けて麻理子にバラすと麻理子もそれを聞いてちょっとピクッとなる。

「こいつが女の子にあんな積極的にアプローチするなんて珍しいからなぁ」
「何?ライヴ口実にナンパ?」
「しかも本番中に?」
「いい度胸してるなぁ!」
「全く麻理子ちゃんというお前には勿体無い程に可愛いカノジョが居るのによぉ!」

皆が面白がって裕司を追い詰める。その横で麻理子は敏広と賢治の言ってる事が冗談と頭では理解しつつも正直、面白くない。

すると裕司が

「違うっつーの!アレは!」

ムキになりテーブルをドン!と叩く。

「あの娘、何だか麻理ちゃんに似てたから……」
「えっ?」

思わぬ言葉に皆が聞く耳を持つ。

「何だか麻理ちゃんが怯えてる様に見えて……そう思ったら放っておけなくて……」
「…確かに、あの娘、麻理子ちゃんに雰囲気とか似てたな」と賢治。
「おっとりしてる所とかキャラ被ってるかもね」と加奈子。

それで殆どの者達が納得。実は麻理子自身も華音の事を何となく自分に似ていると思っていたのだった。

「お前上手く躱しやがったなぁ!」と敏広が笑う。
「躱してねぇよっ!」
「やっぱり裕司さんは優しいのよね」

ここで澄子が助け舟を出してくれる。

「それはそうと、敏広さんこそ、いよいよ年貢の納め時が来たようね」

愛美が話題の矛先を変える。

「何が?」
「改めてちゃんと紹介してよ。敏広さんのフィ・ア・ン・セ!」

それを聞いて真っ赤になる美由紀。敏広も柄にも無く沈黙する中「ヒューヒュー!」と黄色い歓声が店内に響いた。

つづく

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