【少年A】は模範生という事も有り2年弱で出所が決定となった。
だが何と【少年A】の両親が親権を放棄。これにより【少年A】の身元引受人を新たに見つけなくてはならないという問題が発生した。
【新・日本国憲法】では国民の年齢による区別が改められると同時に旧、憲法より細分化される事となった。
【成人】は満十八歳以上。因みに飲酒、喫煙は満十九歳から。以下は十五から十七歳は【準・青年】という枠付けが成され社会的責任は【成人】と、ほぼ同じであるが保護者、保証人の存在が必要であった。
また、十二から十四歳までは【未成年】六から十一歳までが【児童】零から五歳までが【幼年】と定められ【未成年】以下が刑事事件を犯した際には、場合によっては親、保護者にも刑事罰が処せられる様に成った。
尚、【未成年】以下の場合には保護者の【親権放棄】は基本、不可能であるが、【準・青年】の場合に限っては可能である為、この様な事態となったのだ。
そこで裁判所は野々山を【少年A】の身元引受人に推薦。【少年A】本人も、それを希望し、何より世論の多くが、それを求めたのだ。
野々山は悩んだ末、これも承諾。だが当然ながら野々山の家族は猛反対であった。
「正気ですか!?家には年頃の娘だって居るんですよ!!」
「仕方がないじゃないか!誰かが引き受けなければならないんだ!!実の親に捨てられてしまった彼を気の毒と思わないのか!?」
「だからって何故、今回も貴方が!?」
「彼は私を頼ってくれているんだ!見捨ててしまえば彼は今の狂った時代の犠牲になってしまう!」
家族との平穏な生活より自身のイデオロギーを優先した野々山。
その信念は、有る意味、称賛に価するかもしれないが妻と娘の理解を得る事は出来なかった。
「待て!ならば私が出ていこう!私が他にマンションでも借りて…」
「結構です!!毎日、毎日…他所様からの好奇の目に晒されて…もう我慢出来ません!!」
この頃、ご近所は元よりマスコミ各社や野次馬の視線、更には一部の不届き者による嫌がらせを受け野々山の家族の精神的ストレスはピークに達していた。
翌日、野々山の妻は高校生の一人娘を連れて実家へ。
数日後、野々山の代理人が運転する車が少年院へ向かい出所した【少年A】を乗せる。
少年院前で待ち構えていたマスコミ、ユーチューバー達の尾行を撒く為に偽装した車が数台、少年院から同時に出てくると【少年A】を乗せた車は1度、都内にあるホテルの地下駐車場に入り代理人と共に別の車へと移動。
同じ手間を2度、他の施設でも繰り返し、1時間弱で着く距離を、ほぼ1日掛けて【少年A】を乗せた車は野々山宅の有る住宅街へ。
地元警察によりマスコミ関係者は強制排除されていた為、特に混乱も起こらない中、無事に到着。
代理人が呼び鈴を鳴らすと野々山宅から主が出てくる。
「ご苦労様です」
少々、やつれた表情の野々山。
代理人と付添の少年院関係者が無言で会釈をし関係者が【少年A】を促す。
「今日から、お世話になります」
「疲れただろう?さぁ入って!」
こうして【少年A】と野々山の共同生活が始まった。
コメント
こんにちは。いつも楽しく読ませていただいてます。
何時か本当に、この様な日本になるカモ?ですね。
今後の展開、楽しみにしております。
らきあさん♪^^いつもありがとうございます
出来るだけリアルな描写にしたいと思ってまして、その様に感じて頂けたら嬉しいです
これからもヨロシクお願い致します